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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の「今」と21世紀(7)

2014/12/1

海に沈む国々

去る11月2日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、第5次統合報告書を公表しました。

これは、昨年9月以降に公表されてきた「第一作業部会」「第二作業部会」「第三作業部会」の報告内容をもとに、それを統合したもの。今年12月に開催されるCOP20や、来年末に開催されるCOP21等での各国の話し合いの大前提となるものですから、大変重要な報告書です。

この「統合報告書」については、また後日、紹介したいと思います。

今回は連載の7回目。
「第一作業部会」の報告書に基づき、海面水位の上昇について書いていこうと思います。

IPCCは、過去の海面水位について、次のように指摘しています。

1901年から2010年の期間に、
世界平均海面水位は0.19m上昇した。

110年間で19cm・・・・・これだけでも異常なのですが、でも110年間、同じペースで上昇してきたわけではありません。年代ごとに見てみましょう。

  • 1901年~1970年の平均値:1年当たり約 1.1mm
  • 1971年~1992年の平均値:1年当たり約 1.4mm
  • 1993年~2010年の平均値:1年当たり約 3.2mm

(この数値は、気象庁訳『第一作業部会報告書』p.9にある数値をもとに筆者が算出したもの)

近年ほど、海面水位の上昇が激しくなってきていることが分かります。
最近の18年は、1970年までの、なんと3倍の上昇率になっているのです。

「海に沈む島国」のことが国際的な話題にのぼってきたのも20世紀末頃からですから、それは、この海面水位上昇率の急激な変化に関係しているのかもしれません。

そして、この上昇は、今もますますテンポアップして進行しているのです。

今世紀末には、最大で82cmの海面上昇

IPCCは、21世紀末の海面水位についても、4種類のシナリオで予測しています。

それによれば、「最も温暖化を抑えた場合」には、最小でさえ、あと26cmの上昇。
「温暖化の対策を実施しなかった場合」には、最大で82cmもの上昇があるとされています。

ベストを尽くしたとしても、過去110年間の上昇量19cmを遥かに上回ってしまうのです。

海面水位の上昇は、それほど厄介なものなのです。
今からどんなに努力を重ねても、現状を維持することすらできない課題なのです。
このことを前提に、被害を被っている地域の現実を厳しく受け止めることが大切だと思います。

海に沈む国々・・・ツバル、キルバス、モルディブ等々

では、具体的に「海に沈みつつある国々」の実態を見てみましょう。
(そうした国々を取り上げて報道している書籍やネット情報がもとです)

こうした島国は、「環礁」にあります。サンゴ礁の上にある国なのです。

人が住めるとはいえ、日本のように火山活動によって隆起した島ではありません。
海抜は、せいぜい1m~3m程度。それくらいしか、サンゴは地上に顔を出してくれないからです。

★ツバル共和国とキルバス共和国は、オーストラリアの北東に位置する南太平洋の島国。
両国とも、今海面水位の上昇で、国そのものの存続が危ぶまれています。

ツバルでは、今世紀に入った頃から海面水位の事態が急変しました。

それまでは、海岸浸食が問題だったのです。
しかし、今世紀になる頃、思いもよらなかった、島の内部での浸水が始まったのです。
1日2回、早朝と夕方に、島のあちこちで地面から海水が吹き出してくるのです。

浸水した学校の前で遊ぶ子供達。

左の写真は浸水した学校の前で遊ぶ子供達。
(写真はHP:SATREPSより転載 "Copyright © JST")

この国の生活は、「自給自足」が基本です。

ところが、井戸水は、塩害で使えなくなり、畑で作ってきた主食のタロイモも栽培できなくなってきているのです。

ツバルは、島が沈んでしまう前に、約10000人の国民を国外に移住させるしかない、という状況にまで追い込まれています。

でも、オーストラリアは、ツバル国民の移住を拒否。
ニュージーランドは受け入れていますが、毎年80人だけ。「出稼ぎ制度」の枠内でしか受け入れられないからです。

彼らが、自分の国を維持する方法は、無人島を買い取るしかないのかもしれません。

★モルディブ共和国は、インドの南西にある島々から成る国です。

モルディブ

人口約36万人。この国の最高地は海抜1.8m。

3mの高潮で、観光都市・首都マーレの3分の1が水没するという被害を受けたこともあります。

この島は、海面があと1m上昇すれば、80%が水没してしまう、と言われています。

こうした島国の人達にとって、地球温暖化にどう立ち向かっていくのかという課題は、極めて切実な課題なのです。

アメリカでも危機感が

海面水位の上昇に対する危機意識は、あのアメリカでも強まってきているようです。

例えば、アメリカの専門誌『米国科学アカデミー紀要』は、今年7月、ニューヨークマイアミを含めた1700以上の都市や街が、今世紀中に海面よりも低くなる可能性があると、発表しました。

この研究に携わったある科学者は、
何百もの米国の街が、すでに水没が運命づけられている。」とも言っています。
地球温暖化は、もはや後戻りできないところにまで来ており、
CO2排出をゼロにしたとしても、これらの都市の水没は「運命づけられている」というのです。

日本はどうなるのか?

では、私達の日本は、海面の上昇によって、どんな被害を受けるのでしょう。

今年3月に、環境省から発表された『地球温暖化「日本への影響」』では、おもに、高潮災害と砂浜・干潟消失が報告されています。

地球温暖化「日本への影響」 http://www.nies.go.jp/whatsnew/2014/20140317/20140317-3.pdf

その一部を引用します。(赤字・下線・カッコ書きは、筆者によるもの)

高潮は都市が発達している沿岸低平地に甚大な被害が生じる。
河道に沿って内陸地域まで遡上氾濫する様子が見られる。

砂浜および干潟の消失は、砂浜および干潟の変化から求めた消失率で表記した。

(21世紀末には)砂浜については全国的に浸食が進み、
60cmの海面上昇量のときの砂浜消失率は80%をこえる。

このまま進めば、高潮によっても都市の被害が発生し、河川の洪水とも重なって、より大きな被害を生じる可能性が指摘されています。

また、砂浜の消失により、砂浜で楽しむ「海水浴」風景も今世紀中にはもう、見る事ができなくなるかもしれないのです。

私達は、「地球温暖化」の現実は現実として受け止め、「温暖化」のもたらす被害にしっかり対応してゆける社会を築きながら、同時に、「野心的」なCO2の削減目標を掲げ、再生可能エネルギーへの転換を図っていかなくてはならないと思うのです。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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