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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の「今」と21世紀(5)

2014/10/1

海洋温暖化のもたらすもの

昨今の「異常気象」からも分かるように、海洋の変化は、気候にとても大きな影響を与えます。

IPCCの報告書では、海洋の変化についてどんな指摘がされているのでしょうか?
私の独断ですが、それは次の3点にまとめられると思います。

1.海水温の上昇  2.海洋の酸性化  3.海面水位の上昇

地球上のエネルギーのほとんどは海に貯えられる

IPCCの報告書は、海洋温暖化について次のように指摘しています。

海洋の温暖化は気候システムに蓄積されたエネルギーの増加量において卓越しており、
1971年から2010年の間に蓄積されたエネルギーの90%以上を占める。

(気象庁訳:「IPCC気候変動2013」(PDF)p.6より)

この40年間で地球に蓄積されたエネルギーの90%以上が海に蓄積されたのです。

海に蓄積されたエネルギーは、仮にCO2の排出がゼロになったとしても、その後もじわじわと気温を上昇させていく働きをします。

また、海水温度の上昇が大気中の水蒸気を増して降水量を増やすことや、海水温度の上昇が台風の巨大化を引き起こすことも、私達は最近の経験で嫌というほど思い知らされました。

では、海水温度の上昇が気候の変動に及ぼす影響は、これだけなのでしょうか?
IPCCは、気候変動の将来予測の箇所で、下のような指摘も行っています。

21世紀の間、世界全体で海洋は昇温し続けるであろう。
熱は海面から海洋深層に広がり、海洋循環に影響するであろう。

(気象庁訳:「IPCC気候変動2013」(PDF)p.22より)

温暖化が海洋循環に影響を与える?

温暖化が「海洋循環に影響する」とは、どういうことなのでしょう?

地球の海は、絶えず循環しながら地球の気候に影響を与えています。
その海洋循環には2種類があります。

一つは「風成循環」。
風によって起きる循環です。
黒潮や親潮などがそれに当たります。
もう一つが、IPCCも指摘している「深層循環(熱塩循環)」。
(IPCCの報告書では「大西洋子午面循環(AMOC)」という言い方をしています。)

海水は温度が低いほど、また塩分が多いほど重くなり、表層から底層に沈み込んでいきます。
(海水温が下がるほど、また、海水の塩分濃度が大きいほど、海水の体積当たりの重さ=「密度」は大きくなります。)
海洋の深層循環は、こうした海水の水温と塩分濃度の差によって生じる現象です。

底層に沈み込んだ海水は世界の海洋の底層を移動し、やがてゆっくりと上昇して再び表層に戻ります。この循環には、およそ1000年というスケールの時間を要することも分かってきています。

下図は、気象庁HPにある「深層循環の模式図」です。
(青い帯は深層流、橙の帯は表層流を表す)

深層循環の模式図

海水が沈み込むところは、大きく言うと2ケ所あります。
グリーンランド付近と南極大陸付近です。
そして、沈み込んだ海水は、北太平洋で表層に湧出するのです。

この深層循環(大西洋子午面循環)に変化が現れ始めたのです。
IPCCの報告書は、こんなふうに指摘しています。

大西洋子午面循環(AMOC)は、21世紀を通じて弱まる可能性が非常に高い。

その原因は、やはり温暖化のようです。

気象庁のHPでは、深層循環について次のような趣旨の説明が掲載されています。

グーンランド付近での海水の沈み込みが弱くなっている。
温暖化等の影響で海水の温度が上がったこと、
極域の降水量が増えたり、グリーンランド氷床の融解が進んだりして、
海水の塩分濃度が減少したこと、などが原因で、
表層の海水密度が軽くなったことのではないかと考えられている。

気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/mar_env/knowledge/deep/deep.html

深層循環は沈み込む力によって起きる自然現象ですから、
沈む込む力が弱くなれば、当然、深層循環全体が弱まります。
だから、「21世紀を通じて(深層循環が)弱まる可能性が非常に高い」のです。

またIPCCの報告書では、
大規模な温暖化が持続することで21世紀より後においてAMOC(深層循環)が停止してしまう可能性を否定することはできない」とも言及しています。

深層循環が停止したら、どんな事態になるのでしょうか?
短期間に急速な「寒冷化」がもたらされる可能性も指摘されています。

事は地球規模での海洋循環の変化です。その時、どんな事態になるのか?・・・
まだまだ分かっていないことが沢山あります。今後の研究の成果を見守っていく必要があります。

いずれにせよ、大幅なCO2削減を遂行していかなければ、
このままだと、私達の地球は大変な状況に進んでいってしまうようです。
地球との共生を大前提にした「人間活動」が急がれます。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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