環境美術館
星空
特定非営利活動法人
JGK埼玉グリーンプラ事務局
〒331-0054
さいたま市西区島根634番地
TEL:048-623-4063
FAX:048-622-4724
jgk@saitama-greenpla.org
グリーンケロックン
イメージキャラクター
「グリーンケロックン」

連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(32)

「パリ協定」を実行するために

ご承知のように、2015年に採択され、2016年に異例の速さで発効した「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を「2℃~1.5℃」に抑えるという目標が決まりました。しかし、この目標に向けた取り組みを進めるためには、様々な具体的合意が必要です。
パリ協定は、2020年以降の取り組みに関する協定ですから、今年2018年12月に開催されるCOP24で、パリ協定実行のための細目が決まらないと、絵にかいた餅になってしまいかねません。

国連気候変動「ボン会議」(4/30~5/10)で話し合われたこと

そうした中で開催された「ボン会議」には、世界の目が向けられました。(残念ながら日本では殆ど報道されませんでした)
「ボン会議」の注目点は2つありました。
一つは、パリ協定の詳細な実施ルール(ルールブック)を巡る交渉がどこまで前進するか、ということです。
もう一つは、COP24に向けて、各国の温暖化対策の進み具合をチェックし、各国のレベルを上げるための取り組み(=「タラノア対話」)がどのように進むのか、ということです。

パリ協定の実施ルールを巡って

極渦とジェット気流
(ボン会議会場:WWFのHPより転載)

一つ目の「ルールブック」作りは、議題ごとに分科会が設けられ、そこで交渉が行われました。
どの分科会でも交渉上の対立があり、進展はあったもののCOP24で採択できるか、というとかなり心配なペースのようです。

対立点の典型的な一つが、「国別目標」にどのような情報を盛り込むべきか、というテーマです。
現在、多くの国が、2030年に向けた排出量削減目標を持っていますが、2020年までに、その目標を見直して再提出しなければなりません。また、2025年までには、次の2031年以降の目標を提出することがパリ協定で決まっています。

国内目標にどんな情報を盛り込むべきか、というテーマでは、およそ次のような対立点が生じました。

「先進国」
「途上国」に、削減目標に関する情報をもっと出させるべきだ。

中国・インドなど「途上国」強硬派
「先進国」の意見に反対。「先進国」から「途上国」への資金支援等の目標も含めるべきだ。

島嶼(しょ)国・一部の中南米諸国
各国の目標では、排出量の削減に関する情報をきちんと整理するべきだ。

こうした議論の結果、ボン会議の議長が8月1日までに、今回の会議でまとめられたノートの内容を整理して、今後の進め方の案を出すことになりました。

成功した「タラノア対話」

パリ協定では、各国の進み具合をチェックするために「グローバルストックテイク」というシステムを採り入れました。しかし、その第一回目は2023年。それでは遅すぎるとして、昨年、2018年に各国がテンポを上げるために対話を進める、という合意が結ばれたのです。

それが「タラノア対話」です。
「タラノア」とは、COP23の議長国だったフィジーなどで伝統的に行われている、問題解決のための対話のやりかたです。

タラノア対話の中心は、パリ協定実施に関する次の3つの問いでした。

1)我々は今どこにいるのか?(Where are we?)
2)我々はどこに到達したいのか?(Where do we want to go?)
3)我々はどのように到達するのか?(How do we get there?)

このグループディスカッションは、7つのグループが作られ、それぞれのグループには、政府だけでなく、NGO(非国家主体)からの参加者も含めた35名が割り当てられました。そして、上の3つの「問い」に対して、交渉官たちが、自国への温暖化の影響や自国での温暖化対策の歴史を語り、今後どのような対策をするべきかを語りました。そして、その上に立って議論を進めていく、という方法が採られたのです。

こうした報告や議論を経て、「やはり気候変動には、国際社会の協力を通じて取り組まなければならない」という精神の重要性が認識されたようです。
各国は、これを経て、10月29日までに、再度の意見や見解を提出することになっています。
そして、12月のCOP24では、政策決定者を交えて最終議論が行われるのです。

遅れたままの日本政府の計画

では、日本はどのような方向性を提案するのでしょうか?
その元となる「第5次エネルギー基本計画」が、今夏にも閣議決定されようとしています。

南相馬市の太陽光発電所

5月16日には、その案が示されましたが、これまでの目標と変わりはありません。世界の動きに逆行しています。
この案では、2030年に電力量に占める主な電源割合は以下の通り。

・原発 20~22%
・石炭 26%
・再生可能エネルギー 22~24%

再生可能エネルギーを「主力電源」と位置付けたことは前進ですが、原発は脱炭素化の柱として位置づけられたまま。原発の割合は現状で2%ですから、「20~22%」を達成するには新増設か、運転延長が必要と言われています。再生可能エネルギーに対して「技術間競争の帰趨は不透明」として、原発に依存する姿勢が一貫しているようです。「福島」の教訓に学び、本格的な再生可能エネルギーへの転換が求められているのではないでしょうか。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
↑このページの先頭へ
Copyright © JGK Saitama-Greenpla