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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(31)

温暖化がもたらした記録的な厳冬

昨年から今年にかけて、北半球を異常な寒波が襲いました。

さいたま市では、今年の1月24日に-8.6℃(この時点で史上3番目の寒さ)を記録。
更に、1月26日には、観測史上最低の-9.8℃を記録しました。
外を歩くだけで、顔が痛くなったほどです。
この寒波は、北海道や日本海側に大雪をもたらし、被害を広げました。

日本だけではありません。
東ヨーロッパでは、数十人が凍死。
北アメリカではナイアガラの滝が凍結し、北アフリカのサハラ砂漠に雪が積もりました。

凍結したナイアガラの滝雪に覆われたサハラ砂漠

これまでにも、数年に一度ぐらいの頻度で「厳冬」はありました。
しかし、この2~3年、「厳冬」が続いているのです。
この現象について、世界で研究が進められていますが、ようやくその原因が明らかになってきました。

温暖化が終わって、寒冷期に向かっているの?と思われる方もいるかもしれません。
でも、違うのです。
「寒冷化」「温暖化」と決めつける前に、先ず、今年の日本の「厳冬」がなぜ引き起こされたのか、具体的に知る必要があるでしょう。

偏西風の蛇行で、北極上空の「極渦(きょくうず)」が日本まで南下

【参照】 気象庁「平成30年冬の天候の特徴とその要因について」
http://www.jma.go.jp/jma/press/1803/05b/h30fuyunotenkou20180305.pdf

偏西風」って聞いたことはあるけど、何だっけ?という方もいらっしゃるでしょう。
極渦(きょくうず)」は???・・・こちらは、初耳の方も多いと思います。
たった2年か3年でスタンダードになった「厳冬」現象ですから、ちょっと、専門用語を知っておいた方が良さそうです。

偏西風は、北緯30°~北緯60°あたりを、絶えず西から東に向かって吹く風。
天気が西から東に移っていくのも、この偏西風が原因です。
その偏西風帯の北側上空には「寒気ジェット気流」が、南側上空には「亜熱帯ジェット気流」が吹いています。
ですから、偏西風の蛇行は、この二つのジェット気流の蛇行を伴うのです。

ジェット気流は、上空10km付近にある強い偏西風の流れです。
特に冬季には寒気ジェット気流亜熱帯ジェット気流が合流する日本付近とアメリカ大陸東部で、風速は30m/sぐらいになり、100m/s近くに達することもあります。

極渦とジェット気流

極渦は、北極上空の大規模な冷たい気流の渦です。右図(「地球最期のニュースInDeep」より転載)をご覧下さい。
通常なら円に近い軌道の極渦ですが、そこにジェット気流が干渉することで、異変が起きるのです。
今年の1月から2月にかけて日本を襲った寒波は、偏西風が大きく蛇行したために、日本付近に極渦が南下して起きた現象だったのです。

偏西風の大きな蛇行は、なぜ起きたのか

実は、北極海の温暖化が偏西風の蛇行に関係していると、各国の研究で明らかになりつつあります。

極渦とジェット気流

右図は、今年2月の日本付近の様子を表したものです。
シベリア上空に強い「ブロッキング高気圧」が発生したために、二つのジェット気流が大きく蛇行していることが分かります。
(「ブロッキング」という現象については詳述を避けますが、長期間滞留する特徴を持ちます)
日本に厳冬をもたらした偏西風の蛇行は、このブロッキング高気圧によるものだったのです。

(気象庁HPより転載)

シベリアに発生した、この強い高気圧は、北極の温暖化によってもたらされたと考えられています。
温暖化によって、北極海の氷が少なくなったことが原因だからです。
詳しい説明は省きますが、海氷が減ると冬になっても海水温が高いため、上空に高気圧が発生するのです。

シベリア高気圧は、もともと南アジアで上昇した大気が、ヒマラヤ山脈を越えてから下降することにより発生します。 更にそこに、北極海の氷が少なくなったことによる高気圧が重なり、シベリア高気圧を強い大きなものに成長させるのです。それが、寒気ジェット気流の蛇行を大きくすると考えられています。

右上の図では、寒気ジェット気流が、北欧三国の東の海上にまで大きく蛇行していることが分かります。
この海域は「バレンツ海・カラ海」と言い、近年特に海氷の融解が進んでいる海域なのです。

まとめると、日本の厳冬は、北極海の氷が少なくなったためにシベリア高気圧が強まり、偏西風が蛇行して、日本上空に寒気がもたらされた結果だと言えるのです。

温暖化の影響は、私達の目に見えないところで深く進行しています。
北極の温暖化が、今後どのような気候変動をもたらすのか、科学的には誰にも分かっていません。

私達の最低限の義務は、パリ協定の確実な遂行だと思います。
今年の11月に予定されているCOP24は、パリ協定の細目を決める重要な国際会議になります。
ここに向けて、私達の声をもっともっと大きくしていく必要があります。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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