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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(30)

COP23とパリ協定

昨年11月6日~18日にボンで開催されたCOP23(気候変動枠組条約第23回締約国会議)での合意を受け、今年開催されるCOP24に向けて、国際的な行動がスタートしました。

2015年に採択されたパリ協定は、翌2016年のCOP22の直前に発効しました。
従って、パリ協定を実際に進めていくための本格的な国際会議は、昨年のCOP23が初めてでした。
では、COP23では、どのような事が決まったのでしょうか?
パリ協定は、効果的に実践されるのでしょうか?

法的拘束力を持つパリ協定

「温暖化」は、全世界のテーマですから、世界の国々が一丸となって取り組まなければいけない課題です。
ところが1997年に決められた京都議定書以降、法的拘束力のある国際協定の結ばれない状況が続いてきました。
20年前の京都議定書の段階では、まだまだ「温暖化」への認識が進んでいないこともあって、先進国の削減目標は1990年比で5%という低いものでした。(日本は6%)
しかも、この目標を達成した後、京都議定書を更に延長することになったのですが、日本などEU以外の多くの先進国は、延長された「約束期間」に参加しないという態度をとってきたのです。

京都議定書の「第2約束期間」は2018年まで。
そのままだと、「温暖化」に対して法的拘束力を持った国際的な行動がとれなくなるのか!と危ぶまれていた中、ぎりぎりの2015年、参加196ケ国の満場一致で、法的拘束力のあるパリ協定が締結されたのです。
これで、2020年以降の国際的な取組に道が開けたのです。
その時の、歓声と拍手と抱き合って喜ぶ各国の代表の姿は、実に感動的でした。

パリ協定の画期的な内容

では、パリ協定が締結、発効すれば、すべてが「万歳」なのでしょうか?
それは、違います。
協定の内容は画期的なのですが、それを世界中が実践していくためには、沢山の具体的な合意が必要なのです。

パリ協定の最も重要な内容は、気温上昇を抑えるための次のような二つの長期目標を決めたことです。

*世界平均気温を産業革命以前に比べて、2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。

*今世紀後半に、CO2など温室効果ガスの増加をゼロとする。

産業革命前から2012年までに平均気温は0.85℃上昇しています。
残された猶予は僅かとはいえ、法的拘束力のある協定で「2℃~1.5℃」という目標を決めたことは画期的なことでした。
さらに、そのためにも今世紀半ばまでに、人為起源の温室効果ガスを排出したとしても、それはおもに植物が吸収できる範囲にすることを決めたのです。

しかし、パリ協定は京都議定書と違い、各国に削減目標を義務付ける方法を採りませんでした。
各国が、自主目標を出し合って、全体の目標を達成していくという「ボトムアップ」方式を採ったのです。
目標を義務付けると、締結しない国がでてきてしまう懸念があったからだと、言われます。
しかし、各国が自主目標を掲げるだけでは、「2℃~1.5℃」目標を達成できる保証はありません。
そこで、次のような内容も協定に盛り込まれましたのです。

*5年ごとに各国の約束草案を見直し、前期より前進した目標を掲げる。

*長期目標達成に関して、世界全体の進み具合を確認、評価する場を持つ。
 (「グローバルストックテイク」と言います)

かつて、世界の国で、唯一「自主目標」を後退させた国があります。
日本です。
民主党政権の時に掲げた目標を、自民党政権が「福島第一原発事故」を口実に後退させたのです。
また、2015年のCOP21に提出された各国の目標を合計しても、3℃ほど気温が上昇してしまうことも分かっています。
ですから、「5年ごとに前期より前進した目標を掲げる」という内容が、不可欠なのです。
自主目標を掲げた、各国の進み具合を集約し、世界全体の進捗を確認、評価する作業も不可欠となるわけです。

パリ協定を実践するための課題

大枠を決めただけでは、パリ協定は実践できません。
パリ協定を現実に実践してゆくためには、まだまだ沢山の事を具体的にしなければならないのです。
例えば・・・・・

  • 各国の「約束草案」には、何を書いたら良いのか
  • 各国の取り組みをどのように報告させ、どのように国際的にチェックするのか?
  • 世界全体の進み具合の確認は、どんな情報をもとにして、どのように行ったら良いのか?
  • どのように、各国が目標を守るよう促すのか?
  • 各国が、その自主目標を達成できなかった時にどのように対応するのか? etc.

具体的にする内容は、全体でおよそ60項目にも及ぶそうです。
こうした作業を経て、初めて実戦に足る細則=「ルールブック」が出来上がるのです。

2017年・COP23の成果

しかし、COP23パリ協定の「ルールブック」(細則)が決まったかというと、それはこれからです。
では、COP23の成果は、何だったのでしょう?

COP23の議長国・フィジーの代表
 (上の写真はCOP23の議長国・フィジーの代表)

大きく、二つあると言われます。

(1)ルールブックを作るための各国の意見を、すべて紙の上に書くことができた。

国際協議でルールブックが採択されるまでには、おおまかに次のような流れがあります。
a)各国の意見やアイデアを出し合う。
b)各国の意見を、一度、全部紙の上に過不足なく載せる。
c)議長に各国の案を整理した「草案」を作ってもらう。
d)各国が意見を出して、「草案」を練り込んでいく。
e)政治的にしか解決できない問題を閣僚会議で煮詰める。
f)「最終案」が完成して、ルールブックが採択される。

今回のCOP23では、下線を付したb)の段階まで進みました。
ここまでの作業が大変ですから、ペーパーに載ったことは大きな成果と言えます。
議長国は、今年末のCOP24までに、各国の意見をまとめ「草案」を練り込み、スリム化していかなければなりません。
今年中にルールブックができなければ、2020年からの実施は難しいと言われているのです。
「草案」作りはCOP23COP24の議長が担当します。
残された時間は少ないので、各国の積極的な姿勢と、議長の奮闘にかかっているのです。

(2)2018年「タラノア対話」(促進的対話)の実施

これは、各国の目標を引き上げるための対話活動です。
「タラノア」とは、フィジーの言葉で、「誰も拒まず、オープンな対話」という意味を表しています。
各国は、2018年のCOP24までに「2030年目標」を提出することになっています。
この目標をどこまで引き上げることができるのかが、パリ協定の目標を達成できるかどうかの鍵を握ることになります。

この「対話」では、3つの質問が各国に発信され、それに基づいて「促進的対話」が始まります。
3つの質問は以下の通りです。

  1. 現状は、どこにいるのか?
  2. どこに到達したいのか?
  3. どのように到達するのか?

さらに、2020年までの取り組みも強化する方向で対話が始まろうとしています。

国際機関の「目」だけでなく、各国の国民の「目」も重要な役割を果たすのではないかと思います。
今年、大いに注目していきたい課題です。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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