環境美術館
星空
特定非営利活動法人
JGK埼玉グリーンプラ事務局
〒331-0054
さいたま市西区島根634番地
TEL:048-623-4063
FAX:048-622-4724
jgk@saitama-greenpla.org
グリーンケロックン
イメージキャラクター
「グリーンケロックン」

連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(26)

「地球温暖化」をめぐる国際会議

5月には、気候変動(=「地球温暖化」)に関して、重要な国際会議が2ケ所で開催されました。
一つは、26日~27日にイタリアで開催された「G7」。

もう一つは、8日~18日にドイツのボンで開催された「国連気候変動ボン会議です。

国連気候変動ボン会議
 (上の写真は、「WWF Japan」のHPより転載)

今、気候変動(Climate Change)への国際的な取り組みは、2015年に締結された「パリ協定」を効果あるものにしてゆくために、その具体的な取り決めを交渉する段階に入っています。

「取り決め」の期限は2018年
それまでに決まらないと、2020年以降の気候変動への国際的な対応ができなくなってしまうのです。ですから、今年から来年にかけての国際会議は、人類にとって大変重要な意味をもっていることになります。
(「G7」は、メディアで大々的に取り上げられるのに、「ボン会議」のような、地味だけど重要な国連会議が少しも報道されないのには、どんな訳があるのでしょう?)

ちょっと難しいのですが、そんな視点で、最初にあげた二つの国際会議を振り返ってみたいと思います。

G7・・・トランプ政権の抱えた混迷

ご存知のように、G7の首脳宣言では、「米国が政策を見直している途中であることを理解する」という異例の表現をとりました。

G7を目の前にした時期に、トランプ氏はアメリカ環境保護局長らに対して「パリ協定」から離脱する意向を伝えています。
トランプ政権を支持する人達にはこうした態度を取りながら、国際的には、「パリ協定」に示された国際世論に対して、戸惑いを見せている・・・という様子の現れなのかもしれません。

では、目を「G7」の7ケ国レベルから「国連」レベルに広げてみましょう。
2015年の「パリ協定」は、世界196の国と地域すべての参加国が合意した協定です。世界史上も、画期的な協定と言えるものです。
もし、アメリカが「パリ協定」から離脱するなら、アメリカは全世界の世論から孤立することになります。「196」の国々の中で、唯一「気候変動」への対応に背を向けることになります。
孤立化を進もうとしている態度が、アメリカ国内の動向にどんな影響を与えるのか。トランプ政権の抱えた、こうした「矛盾」をしっかり土台に据えて、トランプ政権の行方を見ていく必要があるように思えます。

「ボン会議」で、「パリ協定」に関する取り決めはどこまで進んだのか

では、「ボン会議」で、「パリ協定」を実施してゆくための取り決めは、どこまで進んだのでしょうか?
(東京では、6月12日に「NGO・WWFジャパン」の主催する報告会が開かれる予定です。筆者も参加する予定ですので、より正確な内容は後日お伝えしたいと思っています。)

このことを理解するには、もう一度「パリ協定」の概要をおさらいしておく必要があります。
「パリ協定」の最大の特長は、〝世界平均気温上昇と温室効果ガスに関しての長期目標を決めた〟ことにあります。そのポイントは次の2つです。

*世界平均気温を産業革命以前に比べて、2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。

*今世紀後半に、CO2など温室効果ガスの増加をゼロとする。

また、こうしたことを実施してゆくためには、どんなことが必要なのか?
「パリ協定」は、過去の教訓に学び、トップダウンではなく、ボトムアップの方式をとりました。
そこで、次のような方法まで決めたのです。

*CO2削減や被害への対応などの「国別目標」を5年ごとに更新し提出すること。
また、その「目標」は、以前よりも前進的で、明確さ・透明性等を保障しなければならない。

*世界全体の実施状況の確認(=グローバル・ストックテイク)を行い、気候変動への対応の進み具合を検討してゆく。

更に、「パリ協定」では、次のような仕組みも取り入れました。

*5年ごとに、世界全体での取り組み状況を見直し、その内容を各国の取り組みに反映させる。
 (「促進的対話」と邦訳されています。最初の「促進的対話」が来年開かれます。)

こうした内容を時間軸に落として図式的に見てみましょう。

世界平均気温上昇と温室効果ガスに関しての長期目標

ですから、去る5月8日~18日に開催された「ボン会議」では、次のような二つの大きなテーマが話し合われたのです。

  1. 「パリ協定」を実施してゆくための詳細なルール作り。(=「ルールブック」)
  2. 2018年に予定されている「促進的対話」の在り方。

以下、「WWFジャパン」のHPで紹介されている内容を簡単にまとめてみたいと思います。
http://www.wwf.or.jp/activities/2017/05/1368324.html

「ルールブック」作りの難しさ

これまでは、抽象的、概念的な議論でしたが、今回の議論を通じてどんな項目が必要なのか、少しずつ合意が作られつつあります。これらの内容は非公式文書にまとめられ、年末までにより煮詰められていきます。そして、11月に開かれるCOP23に反映されることになります。

今回の議論の中で一番難航したのは、やはり「先進国」と一部の「途上国」の主張の違いによるものでした。
「先進国」には、CO2の排出規制に関する項目をしっかり取り決めることで、排出量が増えつつある一部の「途上国」に、もっと排出削減を負って欲しいという意向があります。
しかし、「途上国」側には、「先進国」は削減だけでなく、これまできちんとやってこなかったことの責任を転嫁しないで、「途上国」のへの資金・技術等の支援等にも、もっと力を入れるべきだという意向があります。

こうした主張の違いのために、「国別目標」にどんな項目を入れるべきなのか、という交渉にも難しさが生じているのです。
しかし、今日、「先進国」対「途上国」という図式は単純ではありません。「途上国」にも様々な違いがあります。様々な「糸」を手繰り寄せながら、今年の交渉が進められていくのだと思います。

進む、「2018年の促進的対話」の協議

「パリ協定」の目標に向けた取り組みを促進するには、現状の各国の5年ごとの目標を更に引き上げなくてはなりません。そのために重要な役割を持つのが「促進的対話」です。

今回の会議では、昨年のCOP22の議長国モロッコと、今年のCOP23の議長国フィジーが共同で、各国との非公式協議を通じ、意見を聞いて回りました。

その中で、この「促進的対話」の重要性や、「2018年の促進的対話」を成功させるには、今年のCOP23までに中身についての合意ができていなければならないなど、共通認識が生まれてきているようです。
この協議は「ボン会議」以降も続けられ、今年11月に予定されているCOP23の場で報告されることになっています。

2018年まで、残された時間は僅かです。
日本も、「国別目標」を引き上げるという態度を表明し、「2018年の促進的対話」で積極的に貢献してゆくことが望まれます。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
↑このページの先頭へ
Copyright © JGK Saitama-Greenpla