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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(25)

トランプ政権の行方

トランプ氏がアメリカ大統領選挙に勝ってから4ケ月が経ちました。
3月16日には、アメリカの2018会計年度予算案の概要が明らかになり、3月18日に発表されたG20の声明からは、「温暖化対策」も消えました。

パリ協定を成功裏に推し進める上で、アメリカの果たすべき役割には大きなものがあります。
今回は、「地球温暖化」に懐疑的なトランプ政権の現状をまとめてみようと思います。

トランプ氏の「選挙公約」の概要

トランプ氏が選挙中に公約した、温暖化に関する態度を、大きく3つに整理してみました。

  1. オバマ・クリントン路線のエネルギー・環境政策では、「2030年までに50万人の雇用を奪い、経済に2兆5千億ドルのコストをもたらし、一人当たりの所得を7000ドル引き下げる」と批判し、オバマ政権下の「雇用破壊的な行政措置」を廃止するとしました。
  2. オバマ政権が電力部門でCO2削減を義務付けた「クリーンパワープラン」を廃止し、環境保護局の予算と権限を縮小すると明言しました。
    (「クリーンパワープラン」は、アメリカが国連に提出した「2025年までに温室効果ガスを26%~28%削減する」という目標を達成する上で中核的な役割を担う。)
  3. 2015年に締結された「パリ協定」をキャンセルし、国連の温暖化対策への数十億ドルの支払いを止めることも掲げました。

(2016年11月18日GEPR「トランプ政権での米国のエネルギー・温暖化政策は?」元経産省審議官・有馬氏の投稿を参照
http://www.gepr.org/ja/contents/20161118-01/ )

トランプ政権は、気候変動をどのように考えているのか

もともとトランプ氏は、「気候変動問題は中国が米国の競争力をそぐためにつくりあげたでっちあげだ」とツイッターに投稿するほどの気候変動懐疑派です。「気候変動」そのものを疑っている、世界でも稀な政治家といえます。
しかし、そのトランプ氏も、選挙後には、「気候変動が人為的に引き起こされていることも少しはある」と言い始めたり、パリ協定からの離脱についても「オープンマインドで考えたい」と言い始めたりしています。

環境保護局長官・プルイット氏は、パリ協定を「悪い契約だ」と批判してきた人物。気候変動についても「CO2が地球温暖化の主原因とは思わない」と公言しています。

気候変動への予算を大幅に削減した「2018会計年度予算案」(3月16日発表)

「気候変動にはもう予算は使わない。税金の無駄だ。」・・・マルバニー予算局長は、記者会見でこう述べて、次年度の予算案を発表しました。では、どれだけの予算が削られたのか?
主な部門ごとに整理してみましょう。

環境保護局(EPA)
31%減(関係省庁で最大):約82億ドルから57億ドルへ。約2割の職員3200人を解雇へ。
国務省
途上国の温暖化対策を支援するために設置された「緑の気候基金」に拠出する計画だった総額30ドルを停止。
エネルギー省
省エネや次世代エネルギー技術の開発支援などの打ち切り。
航空宇宙局(NASA)
気候変動の観測などに使う人工衛星4機の運用停止。

この予算が執行されると、世界の気候変動の取り組みに大きな影響が出てくることは必至です。
例えば、航空宇宙局(NASA)の人工衛星は、世界に重要なデータを提供しています。気候変動の実態を正確に観測するためには不可欠な役割を果たしているのです。(筆者もNASAのHPから何度も貴重な情報を得ています)
航空宇宙局(NASA)の人工衛星が果たす役割を、HPから抜粋して紹介しましょう。

「NASAでは、1980年代から複数の地球観測衛星による気候変動監視の取り組みを計画し、1990年代から長期的に地球を観測する「EOSプロジェクト(地球観測システム計画)」をすすめています。海洋を観測する「Jason」シリーズ、「Aqua」、陸域を観測する「Terra」などを打ち上げ、運用しています。さまざまな地球観測衛星が観測したデータを統合して活用し、地球のシステムの解明や、機構・天気・自然災害の予測改善に応用しています。」

(SPACE INFORMATION CENTER
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/earth_observation_satellite.html

この予算案は、日本政府にも衝撃を与えているようです。
山本環境相は3月17日の記者会見で「我が国に置き換えると3200人職員がいなくなったら、環境省は消滅してしまう。そのくらいインパクトのある数字が伝わってきて、私にとっては正直ショックだった」と述べています。

トランプ政権への批判と警戒

一方で、トランプ政権に対する国内外の反発や批判も強まっていることも事実です。

米航空宇宙局(NASA)は1月、地球の平均気温は19世紀後半から1.1℃上昇したとし、「CO2などの人為的な排出が主因」だと強調して、トランプ政権への抵抗を強めています。また、環境保護局職員の必死の抵抗も報道されています。

パリ協定を離脱する、というトランプ氏の言動はどう見たら良いのでしょうか。
パリ協定はアメリカも批准し、すでに発効しています。
協定には、発効後4年間は脱退できないという規約があります。また、パリ協定の大元にある「気候変動枠組み条約」からアメリカが脱退すれば、パリ協定も無効にできますが、これにも1年間かかります。

さらに、パリ協定を推進しようという世界の動きに、今のところ変化はありませんし、トランプ政権の温暖化政策には警戒心を強めています。
例えば、オバマ氏と協調して協定締結に大きな影響を与えた中国も、「軽率に放棄するなどと言ってはならない。子々孫々に対して負うべき責任だ。」(習近平国家主席)と強調しています。

気候変動に取り組むNPO・NGOも活動を強めています。

あのパリ協定に結実した国際的な努力は、たとえアメリカであっても、そう簡単に崩せるものではありません。これからのトランプ政権の行方に注目しながらも、日本は、気候変動に対する取り組みを一層強化してゆく必要があると思います。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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