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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(24)

2016年、地球温暖化はどこまで進んだのか

2016年は、2015年に引き続き、世界平均気温の最高値を更新しそうです。
私たちの地球の「温暖化」は、一体どこまで進行してしまったのでしょうか。信頼できる最新の情報をまとめてみました。

2016年の「世界平均気温」が表すもの

下のグラフは気象庁のデータをもとにしたもので、2016年(10月まで)の世界平均気温を、過去の暑かったベスト7年のデータと比較したものです。

1981年から2010年までの世界平均気温との偏差

  (「気候変動の向こう側」HPより転載 http://climatechange.seesaa.net/article/444906613.html)

*先ず、容易に分かることは、2015年~2016年の暑さは、エルニーニョの影響が強く現れたものだということです。エルニーニョは終焉しましたから、2017年は、昨年よりも気温はやや低くなるのかもしれません。

*しかし、昨年の気温を過去の「エルニーニョ現象の2年目」(1998年・2010年)と比べると、はるかに高くなっていることが分かります。やはり、「温暖化」の影響が背景にあると考えられます。ですから、仮にエルニーニョの影響がなかったとしても、昨年は、史上稀にみる暑さであったと推測できます。

*もう一つ注意する必要のあるのは、エルニーニョの影響のなかった、2005年、2009年、2013年、2014年に表れている傾向です。2005年、2009年、2013年には、それぞれの気温にそれほどの違いはありません。しかし、2014年は、それまでの平均気温よりかなり高くなっていることが分かります。2015年は、この2014年の傾向が続き、それに、エルニーニョが重なった結果と見ることができそうです。

実は、2013年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告では、1998年から2012年の期間は、地上気温の上昇傾向は弱まっていると言及されました。下に提示したグラフは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の資料ですが、そのことは、このグラフからも見て取れます。確かに、赤丸で囲んだ2000年から2010年頃まで、気温上昇は横ばい状態です。

2016年NASAが発表した世界の平均気温の推移

その原因は、火山噴火による塵や太陽活動の影響、更に大気中の熱が海により多く吸収されたことによると、IPCCの報告書は指摘しています。

ところが、2014年以降の気温上昇は、この「地上気温の上昇傾向の弱まり」は、すでに終わったのかもしれない、と思わせます。海に蓄積されたエネルギーが、大気中に放出され始めたのかもしれません。
たった、これだけのデータから判断してはいけないのですが、研究者の中には、そうした仮説を唱える人がいることも事実です。

2015年~2016年、北極圏の異常な高温

2016年には、北極圏も、これまでになかった異常な高温に見舞われました。
北極上空では、11月に4週連続で、例年を9℃~12℃も上回りました。
温暖化とエルニーニョが背景にあるのですが、この異常高温の一番の要因は、ヨーロッパ西部とアフリカ西海岸から吹き上がってくる暖風だとのこと。前例のない気象現象だそうです。

更に、アメリカ海洋大気局(NOAA)から昨年12月13日に発表された年次報告書で、今年9月までの1年間の北極圏は、記録的な高温であったことが明らかになりました。(この調査結果は、世界の科学者61人がまとめたものです。)
以下、この報告書で発表された主な内容を、項目的に紹介します。

【気温・海面温度】

  • この1年間の北極圏陸地部分の年間平均気温は、観測史上最高を記録。
  • 北極圏の陸地の年間気温は、1900年比で3.5℃上昇。
  • 北極海のバレンツ海、グリーンランド東西沿岸沖などで、8月ピーク時の海面温度が、1982年~2010年の平均を5℃上回る。
  • 北極地方は、地球の他の地域より2倍以上速いペースで温暖化が続いている。

【雪氷】

  • 北極の多年氷(2回以上の冬を経て成長した海氷)は、1985年には海氷の45%だったが、2016年は22%に減少。凍結して1年程度の海氷の割合が増え続けている。薄い海氷は融解しやすい。
  • 北極圏の積雪面積は、5月に観測史上最小を記録。
  • ツンドラ地帯では、現在、吸収するよりも多くの炭素を排出しており、永久凍土がすべて融解すれば、北極圏とその他の地域の天候と気候に深刻な影響が出る。(永久凍土に封じ込められている炭素は主にメタンガスによりますが、大気中の炭素の約2倍に当たる、と言われています。)

こうして、2016年の気候変動の進行を振り返ると、その深刻さが一層増していることが分かります。

2017年~2018年は、「パリ協定」を基にした国際交渉の正念場

一方、私達人類は、気候変動への2020年からの対策として、2015年のCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で、法的拘束力を持つ「パリ協定」を採択しました。
パリ協定」は、昨年の11月4日に発効し、昨年のCOP22では、同時に「第1回パリ協定締約国会議」も開かれました。(日本は批准が遅れたためオブザーバー参加)

パリ協定」では、世界の気温上昇を産業革命前から2℃より十分に低く保ち、1.5℃以内に抑える努力をすること、そして今世紀後半には、人為起源の温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすることが、目標として決められました。
科学的知見に基づき、長期目標を決めたことは大変大きな意味があります。全世界が、向かうべき目標を共有したのです。30年近い国際交渉と科学の進歩を通じて、やっと人類が到達した一致点なのです。

パリ協定」では、「京都議定書」のような各国の温室効果ガス削減目標を掲げていません。削減目標を義務付けたら、すべての国が参加することは望めません。また、各国に「公平な削減目標」を持たせることが、大変難しいからでもあります。しかし、各国の目標がなくては、対策は進みません。そこで「パリ協定」では、各国は5年ごとに目標を見直し、より前進した目標を提出することが義務付けられました。その際、他国にも納得できるような情報を提供して公開することも義務づけられました。また、全世界の対策がどれだけ進んでいるのかを確認し評価するシステムを設けることも決められました。
パリ協定」は、これまでの国際交渉の苦い経験から学び、全世界の英知を総結集して結ばれたものです。

昨年のCOP22は順調に進み、「パリ協定」の運用ルールを決めていくスケジュールなど、重要な内容が合意されました。それによると、今年春までに、各国は運用に関する意見を国連に提出し、2018年には「パリ協定」の運用ルールを決めることになっています。「パリ協定」そのものは大枠ですから、2018年に向けたルール策定作業が、次の大きな課題となります。今年から、地球の未来を決定づける具体的な国際交渉が本格的に始まるのです。

私たちの日本は、残念ながら、COP21でも、COP22でも、世界の国々から相手にされませんでした。

COP22では、スウェーデンは2045年までに、ポルトガルは2050年までに、排出をゼロにすると宣言しました。
ブラジルは、石炭への投資を止めると演説しました。ドイツ、アメリカ、カナダ、メキシコは2020年までに提出義務のある「長期低排出発展戦略」を、早くもCOP22で発表しました。47ケ国が加盟する「気候脆弱国連合」は2030年~2050年に、再生可能エネルギーを100%にすると宣言しました。

日本の環境相は「削減」については全く触れず、「途上国」への技術援助を強調しました。しかし、日本政府の考えている「技術援助」の中心は石炭火発です。これでは世界の趨勢から大きく取り残されているだけではなく、世界の足を引っ張ることにもなりかねません。今年、日本も「パリ協定」の推進に大きく貢献できるよう、願うものです。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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