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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(23)

日本を襲撃する巨大台風

台風10号・16号は、大きな爪痕を残しました。
亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災地の一日も早い復興を願うものです。

台風10号は、その奇異な動きだけでなく、日本近海で発生し、徐々に勢力を増していったことも特徴的でした。
発生当時、八丈島付近の海水面温度は27℃。そして、台風10号が進んでいった沖縄近海は、30℃。
一般に台風は、海面水温が26℃以上でないと発生しないと言われています。こうした日本近海の海面水温上昇が、台風10号発生の背景にあったのです。

日本近海の海面水温は、今後どうなるのか?

では、日本近海で発生する台風は、今後も増えていくのでしょうか?
それを考えるためには、温暖化によって海面水温がどのように変化するのか、科学的な予測を知る必要があります。
下の図をご覧ください。

2005年と2076年の平均海面水温の比較

  (出典:名古屋大学・坪木和久教授「地球シミュレーターによる台風研究の発展」
http://jpn.nec.com/event/150925spk/images/134sp_nagoya.pdf)

この海面水温のシミュレーションでは、2076年9月に、西日本沿岸で29℃、沖縄では30.5℃と予測されています。2005年と比べると、日本近海は2℃以上も海面水温が上昇することになります。
今年の8月よりも更に高い海面水温が、常態化するのです。
更に注目されるのは、2076年の日本近海は、現在のフィリピンと同じくらいの海面水温になるということです。

こうなると、日本近海で台風が発生した台風が、時間をおかずに、すぐに上陸することも考えられます。
また、2013年11月にフィリピンを襲撃したスーパー台風・ハイエンのような台風が、その勢力を維持したまま日本を襲うことも確実になるでしょう。

スーパー台風・ハイエンは、フィリピンに想像を絶する被害をもたらしました。

*死者・行方不明者:約8000人 *被災者数:1600万人以上 *家屋倒壊:114万戸以上
*最低気圧:895ヘクトパスカル *最大風速:秒速90m *最大瞬間風速:秒速105m

風だけでなく、高さ9.2mにも達した高潮が沿岸部を襲い、被害を大きくしました。
(「最大風速」は平均風速の最大値、「最大瞬間風速」は文字通り瞬間風速の最大値を表す。ちなみに、日本に上陸した時の風速が最も大きかったのは1934年の「室戸台風」で、最大風速は約60mと言われている。)

スーパー台風とは?

天気予報などで台風情報を注意深く聴いていると、台風にもいくつかの呼称のあることに気づきます。
じつは、気象庁では、台風をその最大風速により次の4つに分類しているのです。

最大風速(秒速) 17.2m~32.7m 台風
32.7m~43.7m 強い台風
43.7m~54.0m 非常に強い台風
54.0m~ 猛烈な台風

台風16号も「台風」から「強い台風」になり、更に「非常に強い台風」に発達して、九州に上陸しました。

ところが、近年「猛烈な台風」では収まらないような台風が増えています。
2013年のハイエン(フィリピン)は勿論ですが、2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナも最大風速約80m、被災者数は100万人を超えたと言われています。
こうした最大風速が秒速で約70mを超える台風を「スーパー台風」と呼んでいるのです。

温暖化は、なぜ巨大台風を発生させるのか?

温暖化が台風に与える影響には、次の2つがあるようです。

 (1)海面水温の上昇で、大量の水蒸気による激しい上昇気流が発生すること。
 (2)高温の海水の層が厚くなり、下層の冷たい海水が湧き上がってこなくなってきたこと。

(1)については、専門的な説明は別としても、だいたいお分かりだと思います。
巨大台風では、大量の水蒸気で激しい上昇気流が次々に生まれ、気圧が急激に下がる現象を伴うことがあり、これを「急速強化(きゅうそくきょうか)」と言います。これからの台風情報では「急速強化」という言葉がキーワードの一つになってくるかもしれません。

上の(2)にあげた内容は、ちょっと分かりにくいかもしれません。
下のグラフをご覧ください。

台風の通過による海面水温の変化

  (出典 気象庁HP http://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/knowledge/taifuu_suionteika.html

このグラフは、台風が通り過ぎたあとに、海面水温の下がる様子を示したものです。
海面水温が28℃から25℃程度まで下がったことが見てとれます。
なぜ、台風が通過すると海面水温が下がるのでしょう?

それは「湧昇(ゆうしょう)」という現象によります。下の図は「湧昇」を図解したものです。

台風にともなう湧昇の模式図

  (出典 同上気象庁HP)

台風の風が吹くと、中心付近から外向きに海水が移動します。すると、台風の中心部では、移動した海水を補うように、深いところから海面よりも冷たい水が湧き上がります。これを「湧昇」といいます。
そのため、台風の通過後には海面水温が低下するのです。

ところが、今では、温暖化によって高温の海水の層が100mにも及ぶほど厚くなり、下部の冷たい海水が海面まで上がってこないケースが増えているのです。
これまでの台風は、冷たい海水と混ざり合い、海面の温度が下がることで、次第に勢力を弱めていきました。しかし、現在の台風では、高温の海水の層が厚くなっていることで、その勢いを維持しながら北上する傾向が強くなっているのです。

この8月から9月にかけて、日本列島は多くの台風に見舞われました。
しかし、これは、ほんの序の口にすぎないようです。
私たちは、風だけでなく、河川の洪水、高潮などにも事前に備えておく必要があります。
国土交通省が作っているハザードマップなどは、大いに活用したいものです。
(国土交通省「地点別浸水シミュレーション検索システム http://suiboumap.gsi.go.jp/)
昨年末に締結された「パリ協定」を早期に発効させ、その内容を一刻も早く実践していくことが求められています。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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