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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(22)

過去最大の海氷融解/北極海

昨年に続き、今年もまた世界の平均気温が史上最高になる、という予測も発表されています。
そして、このことが、各地で深刻な状況を引き起こしているようです。
例えばインドでは、この5月に同国の史上最高となる気温51℃を記録し、数百人の人が亡くなりました。インドでは、毎年4月~6月の気温は45℃前後まで上がるのですが、今年は例年より3~5℃高いと言われます。

融解に拍車がかかる北極海の海氷

この気温上昇は、北極海の海氷融解にも拍車をかけているようです。
アメリカ国立雪氷データセンターの発表(6月7日)によれば、今年5月の海氷面積が、また過去最小を記録したというのです。つまり今年の5月には、過去のどの年よりも、広い面積の海氷が溶けてしまったというのです。

実は、北極海の海氷面積が最小値を記録するのは、この5月に限られたことではありません。
下のグラフをご覧下さい。これは、2月以降の北極海の海氷面積の推移を表したもの。
2012年以降の毎年の記録と、1981年~2010年の平均値が示されています。

2012年から2016年の、2月から6月までの北極の海氷面積(単位:100万平方キロメートル

 (上のグラフは「米国立雪氷データセンター」による)

今年は、(このグラフにはありませんが)1月・2月・4月・5月と、3月を除いた全ての月で、最小値を更新しています。
また、5月の融解のペースが速まっていることも、見てとれます。

これまで、5月の海氷面積の最小値は、2004年に記録されていました。
今年は2004年を、58万km²も下回ったと言われます。「58万km²」とは、どれくらいの面積なのでしょう?
「58万km²」を実感することは難しいのですが、日本の国土の約1.5倍に当たる面積です。
今年の5月の海氷面積は、5月の過去の最小記録を、日本国土面積の1.5倍分も更新したのです。
1981年~2010年の平均海氷面積と比べると、なんと日本の面積の約3.7倍の海氷を失ったことになります。

北極海の海氷が減ると、どんな影響が現れるのでしょう?
海氷の融解は海水面の上昇には殆ど影響しません。しかし、最も恐ろしいことは、北極海が太陽熱を吸収してしまうことです。これまでは海氷のおかげで太陽熱を反射してきたのですが、海氷が溶けると、北極海の色が濃くなるため、太陽熱を吸収してしまうのです。それが地球温暖化を加速し、また長期化させます。
私たちの努力で気温上昇を「2℃」に押さえたとしても、海に蓄えられたエネルギーによって、温暖化が長期化するのです。

グリーンランド氷床の融解

今年の暑さは、グリーンランド氷床にも深刻な影響を与えそうです。

すでに島の8割をおおっている氷床や雪が、例年より早いペースで溶け始めていることが伝えられています。
グリーンランドでは、昨年夏に「記録的融解」が起きました。気温上昇の原因は「ブロッキング」です。
ブロッキング現象・・・日本ではあまり耳にしませんが、21世紀初頭にヨーロッパで熱波を引き起こした現象です。長期にわたり「最高気温45℃」のような日が続きました。その結果、フランスなどを中心に数万人が亡くなりました。
そのブロッキングが、昨年夏にグリーンランドをおおったのです。

温暖化では、高緯度地方の気温上昇の方が中緯度地方のそれより大きくなります。そして、高緯度地方と中緯度地方の温度差が縮まります。その結果、ジェット気流が弱まり、弱まったジェット気流はいつもより大きく北に蛇行します。
この大きく曲って蛇行したところに、中緯度地方から温かい空気が流れ込み、長期にわたって停滞したのです。(このような現象を「ブロッキング」と言います。)

最近では、北極海の海氷融解がブロッキングを多発させている、という研究論文も発表されています。

グリーンランド氷床の融解は、当然海面上昇をもたらします。海面上昇のテンポは、2013年に発表されたIPCC気候変動に関する政府間パネル)の報告よりも大きいということが、多くの研究者によって叫ばれています。

更に、グリーンランドの氷床融解は、海水の塩分濃度をうすめ、海水の沈み込みを弱めます。地球規模で循環している海流に影響を与え、地球規模での気候変動にもつながっていきます。

昨年末、全世界の200近い国々が参加したCOP21では、気温上昇を、産業革命以前の2℃未満に抑え、1.5℃未満に抑える努力をすることが決められました。
最近の自然現象の変化を知ると、一刻も猶予のならない状況だということが分かります。
日本では石炭火力発電に依存したエネルギー政策の転換が強く求められます。

これからも折りに触れ、「地球温暖化の今と21世紀」の連載を書き続けていこうと思います。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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