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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(19)

COP21の「歴史的意義」

日本時間12月13日午前3時26分COP21パリ協定が採択されました。
議長国フランスのオランド大統領も、「世界は新しい1ページを作った」と称えました。
日本の新聞各紙(15日付け)も、COP21を大きく取り上げました。

パリ協定の歴史的意義

では、パリ協定はどんな「歴史的意義」を持つのでしょうか。
新聞各紙の報道内容を手掛かりにして、私なりにまとめてみたいと思います。
(「朝日新聞」「読売新聞」「日本経済新聞」の3紙を参考にしました。)

パリ協定が法的拘束力を持つことを前提として、次の2点が挙げられると思います。

1.産業革命前からの気温上昇は2℃を十分に下回る水準に抑え、1.5℃に抑える努力をする

「平均気温の上昇を産業革命以前比で2℃未満に抑える」というこれまでの合意内容だけでなく、
1.5℃に抑える努力」を謳ったことに、今回のパリ協定の意義が象徴されていると思います。

朝日新聞は、その社説の冒頭で次のように書いています。

複雑な利害を反映し、各国が折り合いをつけた結果だけに、不足はいろいろある。
それでも、平均気温の上昇を2度に抑えるというこれまでの目標だけでなく、「1.5度
未満に抑えるよう努める」と明記した意義は大きい。

二酸化炭素など温室効果ガスの排出をできるだけ早く減少に転じ、今世紀後半には
森林や海による吸収以下にする「実質ゼロ」の長期目標
も盛り込んだ。
「数カ月前まで考えられなかった」と環境団体も驚く。(太字は筆者による)

この長期目標には、海面上昇に苦しむ島嶼国だけでなく、最近の記録的熱波や大雨など、先進国も含めた多くの人々の危機感が反映されていると考えるべきでしょう。
こうした「危機感」が、各国の交渉官を動かし、具体的に世界196の国と地域が賛成せざるを得ない状況を作りだした、と言えます。
この画期的な内容を遂行するには、今後の各国の取り組みの一層の努力が必要です。

2.196の国と地域のすべてが参加

もう一つの歴史的な意義は、「196」という圧倒的な数の国・地域(EU)が参加して全会一致で採択されたことです。これは、「先進国」だけに温室効果ガス削減を義務付けてきた京都議定書との大きな違いです。

日本経済新聞は、その社説の冒頭で次のように書いています。

協定には温暖化ガスの二大排出国である中国と米国を含む196カ国・地域が加わる。
それぞれの能力に応じて温暖化ガス排出削減の責務を担う。先進国だけが削減義務を
負っている京都議定書に比べ、対策の実効性と公平性の面で大きな前進だといえる。

勿論、最大排出国の中国(途上国)と第2位の米国が果たす役割には、大きいものがあります。
しかし同時に、パリ協定では、「先進国」が主導すべきことが明言されていることも、改めて
確認しておく必要があるでしょう。

例えば、その協定4条では、先進国が引き続き指導性を発揮すべきとされ、途上国は当面、経済成長のための温室効果ガス排出増も認められているのです。
「共通だが差異ある責任」という原則は、パリ協定にもしっかり貫かれているのです。

今日の気候変動の原因は、先進国が排出し続けてきた温室効果ガスの累積量にあります。
ですから、「途上国」支援も含め、「先進国」が主導してゆく責任には、引き続き大きいものがあるのです。

交渉をリードした国々

ところで、各紙の報道の中に、目を引く新しい言葉があります。それは「野心連合」。

読売新聞の解説委員・河野氏は、「新枠組みの一筋の光」と題して、次のように語っています。

「1.5度」を主張してきた島嶼国は、海面上昇による消滅の危機に瀕し、高潮や海岸浸食
の脅威に日々さらされている。しかし、他国からは「過激な主張を続け、国際合意を難しく
している」と非難されもした。
その島嶼国がリードする「野心連合」が、会議最終盤で表舞台に躍り出た。欧州連合(EU)
や米国に加え、コスタリカやペルーなど二分論(「先進国」と「途上国」:筆者注)に固執する
“抵抗勢力”を包囲した。深刻化する気候変動の現実を背景に、国際政治の力学が働いた。
パリ会議は最終盤で、複雑に絡み合う対立構図が一気に解け、合意に至った。

野心連合」について、朝日新聞は、こんな見出しを掲げ、次のように紹介しています。

島国 交渉リード  合意へ欧米引き込む  COP21野心連合に100カ国 」

採択を控えた会議場に、欧州連合(EU)や米国、マーシャル諸島などの閣僚らが同時に姿
を現した。合意に至る流れを作った有志国からなる「野心連合」のメンバーたちだ。
パリ協定をより積極的な内容にしようとマーシャル諸島のデブルム外相が、発起人となって
集まった。加盟国は、100カ国以上に増えたという。(以下省略

ところで、こうした国々から、日本はどう見られていたのでしょう。
朝日新聞は、社説でこのように書いています。

そんな決意の乏しい日本政府は、パリでほとんど存在感を示せなかった。米国の野心連合
参加も寝耳に水だった。
会場の展示で各国は競うように自国の立場をアピールした。だが、日本のブースは四方を
壁で囲っただけの空間。世界の流れに目や耳をふさぐかのような、象徴的な造りだった。

「脱炭素化」の流れは止まらない・・・求められる日本の姿勢転換

CP21は、「2℃を下回り、1.5度未満の努力」という長期目標を採択しました。
この長期目標を達成するには、「脱炭素」「脱石炭」の流れは必須です。

日本経済新聞は、その社説でこう書いています。(4ケ所を抜粋して紹介します。)

協定により、世界は化石燃料の使用に強い制約を受けることになる。大切なのは、エネルギ
ーの効率的な利用や自然エネルギーの活用で二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「低炭素
社会」の実現を着実に進めることだ。

そのため協定は5年ごとに各国の目標を見直し対策を強化する仕組みを盛り込んだ。
世界全体の目標をトップダウンで決め、達成手段ではボトムアップの現実的な道を選んだ
わけだ。
この違いは将来、各国が互いに責任を押しつけ合う対立の火種になる恐れもある。
協定の成否は、日本を含めて排出量の多い国々の削減努力にかかるだろう。今の技術だけ
では足りず、さらなる技術革新も欠かせない。

欧米企業は政府や非政府組織(NGO)と手を組み、低炭素社会への変革のルールづくりを
主導しようとしている。温暖化の危機を事業拡大の好機と考えるからだ。温暖化は国境を超
えた課題であり、迅速な対応も必要だ。欧米企業に学ぶべきことは多い。

歴史的合意を受け、いま一度繰り返したい。
パリでの合意を新しい時代への一歩としなければならない。

同感です。
日本政府も「野心的」な政策転換をなすべきではないでしょうか。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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