環境美術館
星空
特定非営利活動法人
JGK埼玉グリーンプラ事務局
〒331-0054
さいたま市西区島根634番地
TEL:048-623-4063
FAX:048-622-4724
jgk@saitama-greenpla.org
グリーンケロックン
イメージキャラクター
「グリーンケロックン」

連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(17)

大雨被害と「温暖化」対策

9月、関東と東日本は大雨による堤防の決壊などで大きな被害を受けました。
被災地の一刻も早い復旧と、被害が大きくなったことの原因究明が急がれます。

また、今回の大雨の背景に「温暖化」があることは自明ですから、「温暖化による気候変動にどう向き合うのか」という、より大きな視点から捉え直すことも大切ではないでしょうか。

ますます激しくなる極端現象

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第1作業部会報告は、「極端現象」という言葉で、次の7つの気象や気候現象をあげています。

  1. 殆どの陸域で寒い日や寒い夜の頻度の減少や昇温
  2. 殆どの陸域で暑い日や暑い夜の頻度の増加や昇温
  3. 殆どの陸域で継続的な高温/熱波の頻度や持続期間の増加
  4. 大雨の頻度、強度、大雨の降水量の増加
  5. 干ばつの強度や持続期間の増加
  6. 強い熱帯低気圧の活動度の増加
  7. 極端な高い潮位の発生や高さの増加

4.にあげた「大雨」について、東アジアでは、20世紀末に20年に一度の頻度でしか上回ることのなかった降水量(日)が、
21世紀半ばには約10年に一度の頻度で、21世紀末には約8年に一度の頻度で発生する
とも言われています。(2012年IPCC「特別報告書SREX」)

IPCCは、こうした「極端現象」も含めた気候変動に対して、「緩和」と「適応」という2つの柱をあげ、私達の対応を促しています。

気候変動への「適応」

参考に、環境省のHPから、「緩和」と「適応」という言葉を紹介したページを転載します。↓

気候変動への適応の取り組み

http://www.env.go.jp/council/01chuo/y010-22/mat03_1.pdf (PDF)

気候変動には、温室効果ガスを削減するだけでなく、「適応」という戦略が必要なのです。
今起きている気候変動の影響と、これから起こりうる影響に対して、自然や人間社会の在り方を調整してゆくことが強調されているのです。

では一体、気候変動によって今後世界が受けるであろうリスクにはどのような物があるのでしょう?
IPCC第2作業部会報告には、「将来のリスクと適応の機会」という章があり、その中で概括的に紹介されています。関心のある方は、是非をこちらをご覧下さい。↓

http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg2_spmj.pdf (PDF)

「適応計画」の先進国・イギリス

ところで、大雨被害を扱っていた9月11日のTBSテレビで、ニュース番組のあるコメンテーターから、「温暖化によるリスクに対して、先進国で法律を作っていない国は日本くらいだ」という主旨の発言がありました。
日本は、「適応」についても対応が遅れているようです。

では、世界各国は、気候変動に伴うリスクの増大に対し、どのような「適応計画」を進めているのでしょうか?最も対応が進んでいると言われるイギリスを見てみましょう。

イギリスでは、豪雨や熱波等による被害で、気候変動に対する関心が高まり、
2008年には「気候変動法」という法律が制定され、それに基づいた施策が進められています。
この法律では、温室効果ガスの削減目標等が定められているだけでなく、気候変動の影響がイギリスに与えるリスクを評価し、それを防止・軽減するための方策も決められています。

この法律の主なポイントをご紹介します。
(以下の1.~4.の内容は、金融財政事情研究会の著書『気候変動リスクとどう向き合うか』の内容をもとに、筆者がまとめたものです。)

1.気候変動リスクアセスメントの定期実施
 関係する国務大臣は、2012年とその後少なくとも5年に1度は、リスク内容の報告書を取りまとめて、議会に提出しなければなりません。

2.国家気候変動適応計画の作成
 上の報告書での指摘に対処するため、イギリス政府は、「目標」「政策と提案」「時系列の実施工程」等を議会に提出しなければなりません。

3.適応小委員会の設置
 政府の提出した「目標」「政策と提案」「政策実施」等のモニタリングを行い、政府に助言するなどの役割を持った小委員会が、気候変動委員会に設置されています。

4.「適応」に関する報告の義務
 関係する国務大臣は、エネルギーや運輸、またインフラ等を提供する企業に対して、報告書を 提出させ、ウェブサイトで国民に開示します。

客観的な調査に基づいて、国にその対応を義務付けていることが印象的です。
残念ながら、日本では、こうした対応を見ることはありません。

日本の「適応」策の現状は

環境省や国土交通省などのHPで「適応計画」を調べてみると、よく、こんな文言を目にします。

政府全体の総合的、計画的な取組みとして、適応計画を策定 (平成27年夏目途)

「27年夏」が目途とありますが、未策定のようです(9月15日時点)。

確かに、環境省や国土交通省などが、それぞれの担当分野で、「適応計画案」は提言しています。
例えば、国土交通省の「計画」の一部を抜粋してみましょう。

自然災害

これは、「適応に関する施策」の一部分です。IPCCの報告を受けて、日本での自然災害に言及しています。

しかし、これはあくまでも「提案」。具体的な「法律」や「実施計画」ではありません。
「温暖化」による災害は、これからますます脅威を振るってきます。
日本でも、気候変動の全体的なリスクを見定めた法律の制定と実施計画の策定が急務です。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
↑このページの先頭へ
Copyright © JGK Saitama-Greenpla