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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の「今」と21世紀(14)

G7と「気温上昇2℃未満」の目標

6月にドイツで開催された主要7カ国会議(G7)は、その宣言文に、
世界全体の温室効果ガス削減量を、2050年までに、2010年比で「40%~70%」の幅の上方とする
という長期の目標を盛り込みました。

この「40%~70%」という数値は、昨年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書で示されたものです。

IPCC報告書の作成過程では、多くの研究者の作った約1200通りの将来シナリオが査読(審査)されました。
1200のシナリオのうちの約900は、温室効果ガスを今以上に削減していった場合を想定したもの。
その中でも産業革命以前からの気温上昇を2℃未満に抑える可能性の高いシナリオをまとめた結果が、「2050年までに2010年比で40~70%削減」なのです。

IPCC報告書には、そのことがこんなふうに記述されています。

産業革命以前からの気温上昇を2℃未満に抑える可能性が「高い」緩和シナリオ では、2100年のGHG(温室効果ガス)濃度は約450ppmに位置付けられる。

約450ppmの場合、2050年のGHG(温室効果ガス)排出量は2010年比40%~70%削減、2100年にはほぼゼロまたはそれ以下となる。

環境省「IPCC第5次評価報告書の概要・・・第3作業部会」
        http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg3_overview_presentation.pdf(PDF)

今回のG7が「40%~70%削減」を掲げたということは、
G7が、気温上昇を「産業革命前に比べて2℃未満に抑えよう!」と宣言したことを表わしているのです。

また、「40%~70%削減」を世界全体の目標として掲げたことは、
「先進国」にはそれ以上の削減努力が求められることも意味していることになります。

G7の宣言文は、今後の国際交渉に大きな意味を持つものだと言えるでしょう。

「気温上昇2℃未満」という目標の持つ意義

では、現在、世界の「温暖化対策」の目標となっている「2℃未満」という数値は、いつ、どんな経緯で決まったものなのでしょうか?

「2℃目標」は、2010年にメキシコで開かれたCOP16(第16回気候変動枠組み条約締約国会議)で合意されました。

温暖化による気候変動に対応してゆくには、国際的に長期的なビジョンを共有してゆく必要があります。
各国が勝手にバラバラな目標を持っていたのでは、効果的な対応ができないからです。
しかし、その長期目標の在り方については様々な議論があり、なかなか一致点が見いだせないまま、推移していたのです。

(例えば、目標としては「排出削減量値」が良いのか、「温室効果ガス濃度」が良いのか、「気温上昇値」がよいのか等。また、どのような数値を目標値とすべきなのか?・・・等。)

こうした中で2007年に「IPCC第4次評価報告書」が発表され、これを受けた形で、やっと「2℃未満」という目標が合意されるに至ったのです。

この合意がなされたCOP16の「カンクン合意」から、該当する部分を抜粋します。

更に、科学的知見によれば、またIPCCの第4次評価報告書で示されているように、
地球の平均気温上昇を工業化以前に比して2℃以下とするためには全地球排出量の
大幅な削減が求められること、この長期目標達成に向けて締約国は緊急の行動を
とるべきことを認識し・・・・・

(財)地球環境戦略研究機関「月刊クライメート・エッジ」2011年1月号より
        http://pub.iges.or.jp/modules/envirolib/upload/3114/attach/cc_newsletter006.pdf(PDF)

COP16で「2℃目標」が合意されたことは、「温暖化」に対応してゆく世界の基準が決まったことを意味します。
COP16以前に、長期的な数値目標を提案していた国はEUだけでしたが、これ以降、世界はその目標を達成するために様々な努力を重ねてきました。

今回のG7でも、数値目標が掲げられたように、気候変動に対応してゆく上で、「2℃目標」は、大きな役割を果たしているのです。

「2℃」は、絶対的な目標ではない

実は、「2℃目標」が合意された際に、併せて、その長期目標の妥当性や、取り組みの進捗状況を検討するレビュー(見直し・審査)を定期的に実施することも決められました。

そこには、「2℃目標」を不満とする国々の意見があったようです。
例えば、太平洋の島国やアフリカ諸国などは、「1℃」や「1.5℃」を目標に掲げることを強く求めていました。
「途上国」には、干ばつや洪水、そして海面上昇など、「温暖化」の被害を受けている国々が多く存在します。そうした国々にすれば、「2℃」では不十分なのです。

また、温暖化の予測には不確実性が伴います。
ある目標値を設定したとしても、それが確実に地球の気候を安定させていくものになるのかどうかは、不確実です。しかし、不確実性があるから「長期目標」を設定しないというわけにはいきません。
先ずは、目標を設定して、科学的知見の進歩に合わせて目標値を更新してゆくという柔軟性も求められるのだと思います。

気になる日本政府の対応

さて、G7の宣言を見ても、やはり気になるのは日本政府の姿勢です。
G7各国の中で、国連に未だに削減目標を提出していない国は日本だけです。
それに、政府案である「2030年に2013年比で26%の削減」という目標の低さも問題です。
この政府案は、「世界全体の削減量を、2050年までに2010年比で40%~70%の幅の上限とする」としたG7の宣言文に照らしても、全く不十分だと言わざるを得ないのです。

日本の姿勢は、日本という一国の問題だけに留まりません。
他の「先進国」の努力に真摯に応えることが求められています。
また、中国やインドなどの「途上国」の、より積極的な姿勢を引き出すためにも、私達日本の政府の野心的な削減目標が必要なのです。
ここで、判断を間違え、地球の未来に禍根を残すようなことは、どうしても避けなければなりません。
年末のCOP21まで、私達に残されている時間は、あと僅かしかないのです。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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