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連載:地球温暖化の「今」と21世紀

地球温暖化の今と21世紀(13)

2015/6/1

日本の「温室効果ガス削減目標」はこれで良いのか?

去る4月30日、環境省と経産省は、懸案の「温室効果ガス削減目標(案)」を発表しました。

日本の約束草案要綱(案)
http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/sangyougijutsu/chikyu_kankyo/yakusoku_souan_wg/pdf/007_04_00.pdf

マスコミでも報道されたように、

2030年度に、2013年度比で▲26.0%(2005年度比▲25.4%)

という削減目標です。

今、年末にパリで開かれる国際会議(COP21)に向けて、各国から削減目標が発表されてきています。
京都議定書後(2020年以降)の枠組みを決めるための基礎になるものです。

京都議定書とは違い、今回は各国が自主的な削減目標を出し、それを検討・調整した上で、
年末のCOP21で合意を図るというシステムです。
ですから、本来なら今年の3月までに発表すべきもの、とされていました。
3月までに、削減目標を発表したのは34か国。
日本は未発表ですが、ここにきてやっと、その「案」が発表されたのです。

では、日本の発表した「目標(案)」は、「地球温暖化」対策として積極的なものになっているのでしょうか?
世界中の取り組みをリードしてゆけるものになっているのでしょうか?

「2013年」が基準年 ?

これまでに発表された34か国の「目標」と、日本の「目標案」を並べ、一覧表にしてみました。

34か国の「目標」と、日本の「目標案」

他の国の多くは、「1990年」を基準年にしていますが、なぜか、日本だけは「2013年」。
「1990年」は、京都議定書の時の基準年ですから、一貫性があって分かりやすいはずです。

どうして日本だけ、「2013年」を基準年にしたのでしょうか?
公表されている「日本の約束草案要項(案)」を見ても、その理由は書かれていません。

そこで、日本の「温室効果ガス排出量」(1990年~2013年)の推移を調べてみました。
国立環境研究所の資料をもとにしたグラフです。↓

日本の温室効果ガス排出量及び吸収量の推移

排出量だけを見ると、「2013年」は、2007年についで史上2番目に多い年。

では、
「2013年」比で26%の削減は、「1990年」比で換算すると、何%の削減になるのでしょう?

上の資料をもとに算出すると、およそ18%
  つまり、今回の「削減目標(案)」は、本来の基準年である「1990年」をもとにすると18%だったのです。
この「基準年ずらし」は、世界中から批判を浴びても仕方のないもののように思われます。

では、どうして、これ程低い目標が出てきたのでしょう?
その背景は、「日本の約束草案要項(案)」から伺い知ることができます。
前文に、こんな記述があります。

・・・エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを
十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる削減可能な削減目標
として、・・・・・
(太字は筆者による)

4月28日に提案された、2030年時点の電源構成エネルギーミックス)原案が前提になっているようです。
この原案では、2030年時点での電源構成が次のように示されています。

電源構成(エネルギーミックス)原案での2030年時点での電源構成

日本の温室効果ガス削減を考えるためには、「エネルギー政策」の在り方にも、しっかりと目を向けなければならないようです。

野心的な削減目標が求められるのは何故か

温室効果ガス削減について、最近の国際会議などでは、よく「野心的な目標」という表現が使われます。

これまでの努力の延長線上では、駄目だからです。
ありとあらゆる力を注ぎこまなければいけないからです。
待ったなしの対応が求められているのです。

「地球温暖化」は、気温上昇を引き金にして、「雪氷の消失」「海面上昇」「異常気象」「農産物被害」など、すでに危機的な状況を生み出しています。

産業革命前に比べ気温上昇を2℃未満に抑えることは、私達の最低限の義務なのかもしれません。
そのためには、IPCCの報告書にあるように、
2050年までに世界の温室効果ガス排出量を、2010年比で40%~70%削減する必要があります。
また、現在のペースの排出が2030年まで続くなら、「2℃未満」に抑えることは相当困難になることも指摘されています。

年末に国連の会議(COP21)を控えた今年は、地球と子供達の今後を決める大変重要な年です。
日本政府は、温室効果ガスの削減に、野心的な目標を掲げるべきなのではないでしょうか。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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