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連載:地球環境とプラスチック

地球環境とプラスチック(5)

マイクロプラスチックの魚介類への影響

地球環境とプラスチック(1)
地球環境とプラスチック(2)
地球環境とプラスチック(3)
地球環境とプラスチック(4)

昨年は、国連や国際会議の場で、プラスチックによる海洋汚染の深刻さが幾度か取り上げられた年でもありました。
特に、5mm以下の微小プラごみであるマイクロプラスチックは、生態系に大きな影響を及ぼすことが危惧されています。
昨年9月末、日本の環境省は、マイクロプラスチックによる海洋汚染が、人の影響の及びにくい南極海にまで及んでいることを発表しました。これは、九州大学と東京海洋大学の調査によって分かったことです。
一般紙でも、「マイクロプラスチックは海などを漂うペットボトルやレジ袋などが劣化して粉々になることで生じる。有害物質を吸着しやすく、分解しにくい。魚などが食べ、生態系への悪影響が危ぶまれている。」(9月27日朝日新聞)と報じられました。

では、具体的に魚介類にどのような影響が生じるのか?
現状では、まだ、限られたことしか分かっていません。
そうした中でも、昨年の調査や研究から分かってきた事を、いくつかご紹介したいと思います。

カキの繁殖に悪影響

カキ:本文とは関係ありません

カキの繁殖への影響を発表したのは、フランスの研究グループです。
このグループは、ポリスチレン(惣菜容器等に使われるプラスチック)の微小粒子を加えた海水で、2ケ月間カキを養殖しました。
どんな結果が出たのでしょう?

(左の画像は、この実験とは関係ありません)

まず、生殖への影響です。卵子のもとになる卵母細胞の数が38%ほど減り、その大きさも5%小さくなりました。そして、生まれたカキの幼生(赤ちゃん)の数も41%少なくなりました。
また、赤ちゃんカキの生育にも、影響が現れました。発達の程度が18%も低下したのです。

研究グループは、ポリスチレンによってエネルギーを取り込むことが阻害され、限られたエネルギーを自己の成長や修復に使ってしまうため、カキの繁殖力が低下したのだろうと見ています。

マイクロプラスチックは、有害物質を生物体内に運び入れ、海洋生態系に影響する

スズキの仲間

左の画像はヨーロピアンパーチと呼ばれる魚。スズキの仲間で、ヨーロッパからアジアの沿岸域に生息する魚です。
スウェーデンの研究チームは、ポリエスチレンの微小粒子を、1リットル中に80個入れた高濃度の海水等で卵を孵化させ、その後も10日から2週間飼育するなどして影響を調べ、結果を6月に発表しました。

まず、孵化の成功率が約15%低下し、孵化しても、高濃度で育った魚体は、平均的なマイクロプラスチック濃度で育ったものより、その体の大きさが著しく小さくなりました。
また、捕食者を警戒しなくなるなどの行動変化も見られました。マイクロプラスチックの入っていない海水では。肉食の魚と同居させても、24時間後にその半数が生き残っていたのに、高濃度の海水では、全てが食べられてしまったのです。

今回紹介した2つの事例は、マイクロプラスチックという異物が魚介類にどんな影響を与えるのか、という研究結果です。つまり、プラスチックが消化器官に滞留したために成長が阻害されたり、また、ポリスチレンに含まれている添加剤が影響したりした結果と考えられます。
こうした研究もまだ手がつけられたばかりです。しかし、プラスチックには、有害化学物質を付着させる性質があり、それが人間も含めた食物連鎖に及ぼす影響までは、全く解明されていません。

実験で使われた海水のプラスチック濃度は、実際の汚染濃度よりもかなり高いので、こうした研究結果がすぐに現実になるということではありませんが、今の状態が続けば、魚介類の生殖や繁殖に危機的な影響が出ることは明らかです。また、プラスチックを媒体として、地球の生態系に大きな異変が生じないとも限りません。
地球環境問題への対応には、「起きてしまってからでは遅い」という原則があります。
今、改めてバイオプラスチックの普及が強く叫ばれる時ではないでしょうか。

(文責・副理事長・吉田雅人)

 
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