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連載:地球環境とプラスチック

地球環境とプラスチック(4)

マイクロプラスチックと海洋生態系

地球環境とプラスチック(1)
地球環境とプラスチック(2)
地球環境とプラスチック(3)

今年、国連でも、海洋プラスチック汚染は、気候変動・海洋酸性化・生物多様性と並んで、最も重要な地球環境問題との認識が広がってきています。
例えば、5月には「第2回国連環境総会」に向けて、海洋プラスチック廃棄物の脅威に関する報告書が発表されました。
また、6月には第17回「海洋及び海洋法に関する国連総会非公式協議プロセス」という会議が、海洋プラスチックやマイクロプラスチックをテーマに開催されました。この会議は、世界60か国の代表も参加した画期的なものになりました。(マイクロプラスチック:5mm以下の微細な海洋プラスチック)
前回の連載でも、マイクロプラスチックについて触れましたが、今回も、調査や研究等で分かってきていることを整理してお伝えしたいと思います。

除去することが難しいマイクロプラスチック

プラスチックが海に流れださないようにする取り組みは、世界各地で少しずつ始まってきています。
例えば、河口に廃棄されたプラスチックごみや、漂流して流れ着いたプラスチックごみの清掃などです。

荒川河口の微細化するプラスチックごみ

ところが、プラスチックは、紫外線や風雨などによって崩壊し、微細化してゆきます。マイクロプラスチックのように、5mm以下にもなってしまうと、砂に混ざってしまい、取り除くことが難しくなります。
こうした海岸のマイクロプラスチックは、砂と一緒に海洋に流出してゆくことになります。

また、海にV字型の大きな浮きを浮かべて、波と風の力で浮いているプラスチックを回収しようという試みも始まっています。
ところが、この方法は大きなプラスチックには有効でも、マイクロプラスチックを取り除くことはできません。
無理にマイクロプラスチックまで回収しようとすると、プランクトンや魚の卵まで取り去ってしまうことになります。
このように、マイクロプラスチックは、いったん海に入ると、取り除くことが困難な厄介物なのです。

マイクロプラスチックは、有害物質の最高の「運び屋」

プラスチックは、ご存知の通り、石油が原料です。ですから、プラスチックはもともと、油に溶けやすい物質を吸着しやすい性質を持っているのです。それで、油に溶けやすい有害物質の「運び屋」の役割を果たしているのです。
では、油に溶けやすい有害物質には、どんな物があるのでしょう?

その代表的なものが、PCB(ポリ塩化ビフェニル化合物)です。
最近の若い世代には馴染みがないでしょうが、「カネミ油症事件」などを起こし、毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすく、発癌性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことが分かっている物質です。その毒性から、今では原則的には製造・輸入・使用が禁止されています。

しかし、60年代~70年代にかけて、トランスやコンデンサー等に多用され、それらの廃棄処理が曖昧で、大量の機器類が「行方不明」になっています。
マイクロプラスチックは、まわりの海水から、こうした過去の有害物質も、いま使われている汚染物質もどんどん吸着して、海洋生物の体内に運び入れる危険性を持っているのです。

マイクロプラスチックは、有害物質を生物体内に運び入れ、海洋生態系に影響する

カタクチイワシ

今春、東京湾で捕れたカタクチイワシの8割近くの内臓からマイクロプラスチックが検出されと、東京農工大の調査チームが発表しました。
イワシ8割から微細プラスチック おなかに東京湾のごみ(東京新聞2016年4月9日)
環境省の調査によると、東京湾には、1m³当たりおよそ6個のマイクロプラスチックがあるそうです。また、日本近海のマイクロプラスチックの量は、世界平均の30倍の密度になっているとも言われています。

もし、マイクロプラスチックに吸着した有害化学物質が魚介類の体内に入ったら、どうなるのでしょう?
プラスチックと一緒に、体外に吐き出されるのでしょうか?
魚介類への影響は、現時点ではまだはっきり分かっていないようですが、おそらく、プラスチックは排出されても、化学物質は体内に移行して内臓や脂肪にたまっていくだろうと考えられています。
海鳥の体内からは、すでに化学物質が検出されているのです。
マイクロプラスチックは、小魚だけでなく、プランクトンでさえ体内に取り込むことが分かっています。
プランクトンやカタクチイワシのような小魚は、海洋生態系の一番底辺に位置する生物です。
極論を言えば、海のすべての生き物が、食物連鎖によって有毒物質に汚染されてしまう危険性さえあるのです。

海洋生態系には、まだまだ分かっていないことが沢山あります。
にもかかわらず、温暖化による海水温上昇、二酸化炭素増加による海洋酸性化、そしてマイクロプラスチックの影響が、その生態系に襲いかかっています。
海洋生態系の破壊は、かならず、さらに大きな形となって、地球全体の環境破壊をもたらします。
分かってからでは遅いのです。
私たちは、プラスチックの分野でも、緊急に対策を強めていかなくてはなりません。

(文責・副理事長・吉田雅人)

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地球環境とプラスチック(6)

 
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