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連載:地球環境とプラスチック

地球環境とプラスチック(2)

地層に刻まれる「人間活動」・・・プラスチックの化石も

地球環境とプラスチック(1)

今年4月3日付けの朝日新聞で、こんな見出しの記事が大きく報道されました。

4月3日付けの朝日新聞

人新世 人類が地球を変える時代

プラスチック「現代の化石」

(「人新世」は「じんしんせい」と読みます。)

プラスチックが「現代の化石」になる!
植物由来のプラスチック=「バイオプラスチック」の普及を目指している私達も、無関心ではいられません。今回は、今地質学会を中心に大きな話題になりつつある「人新世」について、素人なりに分かりやすくご紹介したいと思います。

新たな地質年代?・・・「人新世」

今、世界の学者の間で議論を呼んでいる「人新世」。
地球環境は、人類によって大きく変化したので、地球史を新しい「人新世(じんしんせい)」という地質年代(地質時代)で区分すべきだ、という考えです。すでに、イギリスの地質学会は、「人新世」という区分を正式に決定し、年代表に記載する作業を進めています。

「地質年代」とか「地質時代」というと、難しい!という印象がありますね。
「地質年代」とは、地層に含まれる化石や岩石などから、地球環境の変化を読み取り、地球の歴史を区分したものですから、確かに学術的です。

でも、恐竜が絶滅した地質年代の「白亜紀」なら、子ども達もよく知っています。
それに、「カンブリア紀」という地質年代は、テレビ番組名にまで登場しています。

年代表

左の表は、私が大雑把に作ったものですが、「白亜紀」は「中生代」の最後に位置し、「カンブリア紀」は「古生代」の最初に位置する年代です。

どの時代も、何万年~何千万年という長い歴史を刻んできました。

そして今、これまでの「完新世」が幕を閉じ、「人新世」という  時代に入ったかもしれない、というのです。
一体、「人新世」とはどんな特徴を持った時代なのでしょう?

いくつかの翻訳書も出版されていますので、それらの内容も参考にして、素人なりに、なるべく分かりやすくまとめてみたいと思います。
そして、私達は今、地球の歴史のどんな局面にいるのか、大きな視点から考えてみたいと思うのです。

自然が刻んできた地質年代を、初めて「生物」(人間)が塗り替える

例えば「古生代」最後の「ペルム紀」は、地球に超大陸パンゲアが出現し、それに伴って活発になった火山活動によって終焉を迎えました。大気中に大量のCO2が排出され、気温が急上昇。
95%の「種」が絶滅したという説もあるくらいです。そして、低酸素に適応した生物が、次の「中生代」を担っていきました。

また「白亜紀」は、隕石が地球に衝突したことで、地球環境が大きく変化したと言われています。
恐竜は絶滅。哺乳類の栄える「新生代」に移っていきます。

直近の「完新世」は、約1万2000年前に「氷期」が終わり、温暖な「間氷期」に入ったことが原因で始まりました。この「温暖化」は、今とは違い、地球の公転や自転軸のずれのサイクル(ミランコビッチサイクル)によって起きたことも分っています。

どの時代も、自然現象がもたらしたものでした。

これに対して、今議論されている「人新世」は、自然現象によってもたらされているのではありません。
私達「人間」が、それだけ大きな地球環境の変化を作り出してしまっているのです。
一生物の活動が地質年代を変えるなどということは、地球の46億年の歴史にはなかったことです。「人間活動」が地球に対して与えている影響の大きさを、私達は、今改めて考えてみる必要があるようです。

「人新世」とは、どんな特徴の時代なのか

では、「人新世」と言われる時代の地層には、どんな特徴が見られることになるのでしょうか?
実際に見られるのは、何万年後ということになるのでしょうが・・・。

先ず、第一にあげられるのはCO2の増加による大気組成の変化です。 この影響は地層にも印となって残るだろうと考えられています。

では、今日のCO2濃度がどれほど急上昇しているのか、見てみましょう。

下のグラフは、過去80万年のCO2濃度の変化と、気温の偏差を対応させたものです。
(出典:『地球温暖化の事典』丸善出版p.57)
上の折れ線は「気温偏差」。下の折れ線が「CO2濃度の変化」を表します。
また、横軸は年代を表し、右端が「80万年前」。左端が「現代」を示しています。
ただし、赤枠とその中に書いてある「393ppm」、および青丸枠は、私が書き入れたものです。

過去80万年のCO2濃度の変化と、気温の偏差を対応させた表

グラフでお分かりのように、過去80万年間のCO2濃度は、およそ「280ppm~180ppm」の範囲で変化してきました。そのサイクルは大体10万年です。(1ppm=0.0001%)

ところが、産業革命以降、CO2濃度は急上昇を起こしました。
CO2濃度「393ppm」(2012年)は、「気温偏差」のグラフ内に書かざるをえないほどの高い値です。それほどの急上昇なのです。(昨年から今年にかけて、400ppmを超えたことが確実になっています。)

これは、石炭・石油を中心とした化石燃料によって引き起こされたものです。
私達が立ち向かっている「地球温暖化」は、地球の歴史の中でも非常に特異なものだということが、地質学会から示されたと言えるのではないでしょうか。

次にあげられるのが、人間の作り出した物質が地層に残るという特徴です。

端的な例をあげれば、何万年か後には「プラスチックの化石」が地層に見られるというのです。
なかでも、1950年代以降、世界各地の海の堆積物から検出されているマイクロプラスチック(破砕されミリ単位にまで微細になったプラスチック)は深刻です。私達の使ったプラスチックが、地質学的スケールで地球に痕跡を残すことになりそうです。
プラスチックだけではありません。コンクリート然り。陶器やガラスも然り。アルミニウムも然りです。

「化石」と言えば動植物が当たり前だったのに、人間が作り出した物質が「地層」となり「化石」になっていくのです。
1960年代にピークとなった大気中核実験による放射性降下物も、人間の作り出した物質として地層に残ると考えられています。

46億年の地球史でも前代未聞のことが起きようとしているのです。

更に、今進行している「6度目の大絶滅」によって、生物の化石にも大きな変化が起きます。

人間の森林伐採や開発、そして乱獲等により、現代は「6度目の大絶滅」の時代と言われ始めました。
そこに、「温暖化」が追い打ちをかけています。

地球上では、これまで5回の「大絶滅」が起きました。

1回目:オルドビス紀の大絶滅(約4億5千万年前)
2回目:デボン紀の大絶滅(約3億6千万年前)
3回目:ペルム紀の大絶滅(約2億5千万年前)
4回目:三畳紀の大絶滅(約2億年前)
5回目:白亜紀の大絶滅(約6600万年前)

今起きつつある「6度目の大絶滅」では、今後数百年で75%の「種」が絶滅するという研究もあります。
また、今回の「大絶滅」の特徴は、その速さにあるとも言われています。
何千年、何万年もかけて「絶滅」してゆくのではなく、僅か数百年で、です。
こうした「絶滅」と野生動物の減少は、確実に化石の変化をもたらします。

こうして見てくると、人類の身勝手さばかりが目立ちます。
私達の生活を、あらゆる面からもう一度とらえ直していかないと、私達の子孫の時代は、想像もできないような地球環境になるのかもしれません。
人新世」を、地質学会の論争としてだけで終わらせるのではなく、私達の生活と社会の在り方を根本から見直す契機にしてゆきたいものです。

(文責・副理事長・吉田雅人)

地球環境とプラスチック(3)
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地球環境とプラスチック(5)

 
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