環境美術館
星空
特定非営利活動法人
JGK埼玉グリーンプラ事務局
〒331-0054
さいたま市西区島根634番地
TEL:048-623-4063
FAX:048-622-4724
jgk@saitama-greenpla.org
グリーンケロックン
イメージキャラクター
「グリーンケロックン」

連載:地球環境とプラスチック

地球環境とプラスチック(16)

2018/11/1

「海洋生分解性プラスチック」開発の動向

プラスチックごみによる海洋汚染と、海洋生物への影響が大きな問題になっています。
経済産業省は、今年5月、その方策の一つとして「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」(以下「ロードマップ」)を発表し、7月には、そのための「検討委員会」を立ち上げました。 また、これに呼応して、日本バイオプラスチック協会は、季刊誌「バイオプラジャーナル」の9月号で、海洋生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの特集を組みました。
今回は、これらの文書を参考にして、主に経産省の考え方を見ていきたいと思います。

「海洋生分解性プラスチック」開発の難しさ

バイオプラスチックは、生分解性プラスチックと植物を原料に使ったバイオマスプラスチックの総称です。生分解性プラスチックは製品化されてきていますが、その国内流通量は約2300トン。国内プラスチック生産量のわずか0.023%で、その普及にはまだ多くの課題が残されています。
なかでも「海洋生分解性プラスチック」は、研究が始まったばかり。海洋で水と炭酸ガスに分解するプラスチックの登場には、少なくない期待が寄せられていますが、「海洋」という条件が壁となって立ち塞がっています。
2015年12月には国連環境計画(UNEP)も「生分解性プラスチックは海洋プラスチック汚染の唯一の解決策とはならない」という声明を出したほどです。
海洋の表層は、25℃前後もあるので、微生物によって生分解が起こりやすいのですが、深海になると水温は10℃を下り、微生物の数も表層の100分の一~10000分の一以下に減ります。海洋は、微生物によるプラスチックの分解を期待しにくい環境なのです。
ですから、海洋生分解性プラスチックの開発には、「従来の延長線上ではない発想に基づく新しいコンセプトのもと材料を開発する必要がある」(「バイオプラジャーナル9月号」p.5)と言えるのです。

経済産業省の位置づけ

経産省は、前述の「ロードマップ」で「①G7のような先進国のみならず新興国も含めた世界全体での取組が不可欠であり、②プラスチック製品の製造や利用等の経済活動の制約でなく、③適切な廃棄物管理及び新素材開発等のイノベーションにより、プラスチックごみの海への流出を抑えることが重要である」として、そこに海洋生分解性プラスチックを位置づけています。
経産省の言う「②プラスチック製品の製造や利用等の経済活動の制約でなく」という考え方は、使い捨てプラスチックの削減そのものを追求しているヨーロッパ諸国の考え方とはと隔たりがあるようです。その辺りは、今後の議論が必要だとは思いますが、ともかくも、海洋生分解性プラスチックの開発が俎上に乗ったことは歓迎されると思います。
では、海洋生分解性プラスチック開発のためには、どんなテーマがあるのでしょう。
ロードマップ」では、次のように述べています。(要約とカッコ付番号は筆者による)

  1. (1)海洋環境下での微生物によるプラスチックの分解メカニズムを解明し、分解に適したプラスチックの構造と、酵素の分解能力を明らかにする。
  2. (2)その上で、微生物の生成する酵素の働きによって分解する構造を持ったプラスチックを開発する。
  3. (3)将来的には、海洋生分解性プラスチックの分解が開始されるタイミングや分解に要する時間をコントロールできる機能を持たせる。

かなり専門的で難しい内容です。
(1)にある「酵素の分解能力」や、(2)にある「微生物の生成する酵素の働き」とは、どんなことなのか?
また、(3)にある「分解が開始されるタイミングや分解に要する時間をコントロールできる機能」とは、どんなことなのか?
これらについては、「バイオプラジャーナル9月号」に掲載された研究論文が参考になります。
この研究論文は、「ロードマップ」で経産省が提示したテーマに沿った内容になっています。専門的な内容ですが、海洋生分解性プラスチックについて理解するために、後日のHPでなるべく分かりやすくご紹介しようと思います。

「気候変動」と「海洋プラスチック」は、私たち「NPO法人JGK埼玉グリーンプラ」にも、大きな課題を投げ掛けています。
市民生活の視点で業界の動向もキャッチし、皆さんに発信してゆく役割を果たしていきたいと思います。

(文責・副理事長・吉田雅人)

 
↑このページの先頭へ
Copyright © JGK Saitama-Greenpla