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連載:地球環境とプラスチック

地球環境とプラスチック(12)

2019/4/1

「待ったなし」の海洋プラスチック対策

去る3月11日~15日に、ケニアのナイロビで、160か国を超える国が参加して、第4回国連環境総会が開催されました。

持続可能な開発を目指す世界の動き

この総会では宣言が採択され、その宣言では、各国が「持続的でないプラスチック製品の使用と廃棄による生態系への被害に取り組む」とし、「2030年までに使い捨てプラスチック製品を大幅に削減する」と明言しました。
この宣言は、米国をはじめとする幾つかの富裕国の意向で当初の宣言案より中身が薄くなったと報道されています。当初の宣言案には「2025年までに使い捨てプラスチックを段階的に廃絶する」という今回の宣言よりもはるかに厳しい内容が盛り込まれていたのです。
こうして、海洋プラスチック問題は今、「待ったなし」の喫緊の課題として全世界の認識が高まっています。

国連環境計画日本協会のフォーラムに参加して

守ろう!海の生態系

こうした世界の流れの中で、23日には国連環境計画日本協会(日本UNEP協会)と東京新聞が主催してフォーラムが開催されました。
ここでの「基調講演」(鈴木基之氏:日本UNEP協会代表理事)と「発表」(高田秀重:東京農工大教授)から、かいつまんでご紹介したいと思います。

鈴木氏は、「人間活動と海」というテーマで講演。
先ず、「海」がどれだけ大きな存在なのか数字も挙げて話されました。地球上の水の96.5%を占め、地球の水循環の大元であり、人類は、海洋生態系から多大な恩恵を受けてきたことを強調されました。
その「海」が、人間活動の暴発によって、危機的な状況にあるのです。 鈴木氏は、「海」の危機をもたらしている3つの要因をあげました。

  1. 窒素化合物の流出減
  2. プラスチックの流出
  3. 海水温の上昇と酸性化 です。

鈴木氏は、最後に「次の世代に何を残すのか、我々は待ったなしの状況にある」と強調して、基調講演を終えました。

海のプラスチック汚染と持続可能性

高田教授は、マイクロプラスチックの研究では、日本の第一人者です。
高田氏は先ず、プラスチックの生産規模を挙げました。毎年4億トンが生産され、その生産のために石油の8%~10%が使われています。
地球温暖化の対策をする上でも、プラスチック問題は重要なのです。
プラスチックの中で最も廃棄量の多いのがペットボトル。
ペットボトルの回収率は88.8%と高いのですが、未回収分だけで、25億本と推定できるそうです。

では、いつ頃からプラスチックによる海洋汚染が激しくなったのでしょう?
東京湾の堆積物コアを調べたところ、戦前には殆ど堆積していなかったマイクロプラスチックは、1970年代から急増し始め、ほぼ同じテンポで今でも堆積され続けていることが分かったと言います。
こうして増え続けるマイクロプラスチックは、海洋生物に次のような3つの悪影響を及ぼすと言います。

  1. エサではない異物を取り込むことによる物理的な害
  2. プラスチックの製造段階で使われる添加剤などに含まれている化学物質の害
  3. 海中にある有害化学物質を付着して生物の体内に運ぶ害
    (マイクロプラスチックを体外に排出しても有害物質は体内に残る可能性が高い)

今のままでは、海の汚染はどんどん深刻化していきます。
また、マイクロプラスチックは除去できないので、その深刻さは一層です。網でマイクロプラスチックを回収すれば、プランクトンまで捕獲することになり、これは出来ないのだと言います。

では、どうしていけば良いのでしょう。
ヨーロッパを中心にして、プラスチック製品の使用禁止、有料化、課税などの対策が取られてきていますが、日本は遅れています。
高田氏は、「温暖化対策でパリ協定では、2050年までにCO2排出を実質ゼロにする目標だから、2050年までにプラスチックの焼却を止めなければ、パリ協定違反になる。日本は、リサイクルが進んでいると言われるが、その57%はサーマルリサイクル=熱回収だ。しかし、国際的には熱回収はリサイクルではない。やはり、リサイクル以前に、作らない・使わないが重要になる」と強調して話を終えました。

分かっていたつもりでしたが、改めて海洋プラスチック対策の緊急性を思い知らされた感がありました。

(文責 副理事長・吉田雅人)

 
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