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活動報告

事務局ニュース

福島県から首都圏に避難されている方々の今

去る11月1日、早稲田大学国際会議場に於いて、「首都圏避難者の生活再建への道」と題したシンポジウムが開催されました。
主催は東京災害支援ネット(とすねっと)、共催は震災支援ネットワーク埼玉(SSN)。

震災支援ネットワーク埼玉は、私達埼玉グリーンプラとも親交のある団体です。

シンポジウムの様子

今回のシンポジウムは、福島県から東京・埼玉に避難中の世帯を対象にして、今春実施された大規模アンケートの結果を受けて開催されました。

3部からなる内容は、次の通りです。

第1部
早稲田ワーキンググループからのアンケート解析結果報告
テーマ:損害賠償、生活費、住所、帰還、精神的苦痛

第2部
復興支援員、震災支援従事者の現場から
伊藤 千亜(埼玉便り編集部)
福島県浪江町 復興支援員

第3部
パネルディスカッション
復興支援員、震災支援従事者の現場から
「社会的ケアのあり方を考える~被災者支援の為のネットワークづくり~」

モデレーター
辻内 琢也(早稲田大学人間科学学術院 准教授・心療内科医)

パネリスト
丹波 史紀(福島大学 准教授・ふくしま連携復興センター 代表理事)
豊田 吉彦(福島県 生活環境部 避難者支援課 主任主査)
増田 和高(早稲田大学人間科学学術院 助教・社会福祉士)
森川 清(東京災害支援ネット 代表・弁護士)
北村 浩(震災支援ネットワーク埼玉 副代表・公益社団法人 政治経済研究所 主任研究員)

避難者の実態を少しでも多くの人に知っていただくために、このシンポジウムの一部をご紹介しようと思います。

深刻なストレスの状況

第2部で報告されたお二人(伊藤さん・大柿さん)とも、「死にたい」という避難者の声を紹介されました。

避難後、知り合いもいない。一人で外に出る気力もなくなった。
いつまでこうした生活を続けたらよいのか分からないまま、3年半が過ぎてしまった。
もう、死んだ方がましだ。

早稲田大学・辻内教授の報告によれば、アンケートの結果、PTSD(外傷後ストレス)の可能性のある人は、全体の59%にも上り、この状態がほぼ減らないまま3年間続いている、とのことでした。

その原因は、複合しています。
そうした中で、解決の急がれている課題として強調されていたことを、2つ紹介します。

解決が急がれる「住宅環境」

一つは、避難者の「住宅環境」です。

シンポジウムの様子

例えば第2部で、浪江町復興支援員大柿さんは、「達の訪問した避難者のほぼ全ての方から、住まいに関する不安の声が聞かれました」と報告されました。

また、何人かの報告者からも、「現行の災害救助法では、福島の避難生活者には対応しきれない」との発言がありました。

「震災避難アンケート」の自由記述欄から、いくつかの「声」を紹介します。

  • 震災前に住んでいた住宅と違って、面積・環境の違いで子供達の心のゆとりがバランスがとれないように感じられる(49歳女性)
  • 借り上げ住宅が、いつまで続くのか?これがなくなると、生活費がなくなってしまうので心配です。長期で避難になるので落ちついて生活できる環境に引越したい。(50歳男性)
  • 家族6人で住みたかったが部屋数が少なかったので別居(75歳男性)

狭いこと・住み換えができないこと・住宅制度に期限があることなどが、多くの不安を生んでいるようです。こうした大元に、現行の災害救助法があります。

現行の災害救助法は、放射能被害を前提に作られていないからです。
災害で住居が滅失した被害者のうち、自らの資力では住宅を確保できない人を対象に、一時的な居住の安定を図ることが目的の法律だからです。

しかし、放射能被害は、先が見えません。避難生活がいつまで続くのか、分からないままの生活です。
埼玉県に避難している方だけでも、6000人近いのです。実態に即した法律の運用が急がれます。

交流会と「避難者支援員」の役割の大切さ

埼玉県では、分かっているだけで、福島からの避難者同士の自主的な「交流会」が、32ケ所で催されています。

アンケート結果を見ると、こうした「交流会」の大切さが一層はっきり分かります。

下のグラフは、「近所づきあいの程度」のうち「互いに相談したり日用品の貸し借りをするなど、生活面で協力し合っている人」の数を、全国平均と比較したものです。(アンケートを元に筆者が作成)
青色:全国平均、茶色:震災前の状況、赤色:2014年の状況)

生活面で協力し合っている人

やはり、福島では、近所付き合いが濃密でした。
ところが、震災後の状態を見ると、ほぼ全国平均並みになっています。

こうした地域コミュニティーの「淡泊」さは、特に高齢の方には大きなストレスを生じさせると考えられます。
「孤立死」や「震災関連死」などの最悪の事態になる前に、社会全体でケアをできるようなシステムが求められます。

そのためには、「被災者支援員」のような役割が必要になってきます。
「交流会」に出てこない人、出てこれない人の住居を、こつこつと訪問する活動です。
私達が訪問した福島県南相馬市の仮設住宅でも、こうした「相談員」の訪問活動が大きな役割を担っていました。

「住居問題の解決」と「避難者の孤立化を防ぐ」ことは急がれる課題です。
こうした課題を社会全体が共有してゆくことは大切なことだと言えるでしょう。

福島への帰還について

今回のアンケートでは、「帰還について」という項目も設定されています。あれから3年半経った現時点で、避難されている方々は、福島への帰還をどのように考えていらっしゃるのでしょう。

アンケートの一部をグラフにしてご紹介します。(いずれも、アンケートを元に筆者が作成したグラフ)
下は、「地元に帰りたい気持ちの強さの程度」を昨年と今年について比較したものです。

地元に帰りたい気持ち

どうして「帰りたい」という避難者が減ってきているのでしょう?
お一人お一人にそれぞれの事情があることを前提にした上で、もう一つのアンケート結果を紹介します。

福島の地元に帰るために、特に重要となる条件(3つだけ選択)」の集約結果です。

地元に帰りたい気持ち

やはり、除染の徹底がなければ帰りたくても帰れない・・・という状況が伝わってきます。
子供を抱えて避難されている方が、「もう福島には帰らない」と決心されることも良く分かります。
私達は、こうした避難者の皆さんの置かれた現実を踏まえて、社会の在り様を考えていく必要があるのではないでしょうか。

2014年11月28日

 
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